フィールド

イモムシ・ケムシは手足をどう使うか

新緑の季節です。新しい葉は柔らかく、いかにもおいしそうです。つまり、葉を食べる虫たちにとっては待ちに待った季節なのです。 昆虫少年時代、イモムシやケムシはあまり好きではありませんでした。しかし、大学院生になって、生態学や進化学の視点から新た…

ホットスポットで昆虫採集

以前にホットスポットという言葉の使用法について紹介したことがあります(ホットスポットとは)。それから原子力発電所の大事故が起こって、日本ではホットスポットといえば放射性物質でひどく汚染された地域を指すことが多くなったように感じます。 先日、…

カブトムシと樹液

子供の頃からずっと昆虫採集を続けてきましたが、今年ほどカブトムシをたくさん採集した年はなかったでしょう。たくさんの個体を必要とする案件があったからですが、今の職場の構内だけでかなりの数を採ったと思います。実家は大阪の住宅街にあって、少年時…

奥日光のシデムシ

先日、梅雨の晴れ間を狙って奥日光まで行ってきました。 今回の目的は、山地性のシデムシ*1を採集することです。曇ったり、晴れたり、雨が降ったりの天気にも関わらず、目的のホソヒラタシデムシとカバイロヒラタシデムシを無事採集することができました。実…

サギを観察

連休中、わずかな晴れ間を狙って鳥を見に行きました。 実は、鳥が好きでして、小学生の頃は日本野鳥の会の探鳥会というのにも参加したことがあります*1。 人混みと車を避けて比較的近くの河原で観察しました。ちょうど時節柄(繁殖期)サギの飾り羽や冠毛が…

サムライアリの季節

昨日の夕方、研究所の構内でアリの行列を見つけました。ひょっとして、と思いしばらく観察していると、その集団はクロヤマアリの巣に入っていきました。 クロヤマアリの巣に入り込むアリの集団 さらに観察を続けると、巣の中から繭を運び出しています。 クロ…

藻場と海草とワレカラ

やっぱり日本の夏は暑いです。湿度が高いのはもちろんですが、実際の気温も高い。ハワイでは寝苦しくて目が覚めたのは2年間で1,2日くらいだったのに。 暑いと海に行きたくなるそうですが、内陸生まれの内陸育ちで、海には全く馴染みがありません。ハワイに2…

オサ掘り

お正月は関東地方らしい良い天気でした。初日の出は九十九里浜で迎え、この海の遠く先にハワイがあるのかあと思ったり。 せっかくなので、新年早々オサ掘りをしてきました。「オサ掘り」というのは、晩秋から初春の間に、土中や朽木中で越冬中のオサムシを掘…

亜熱帯大陸島・沖縄本島を訪問

沖縄本島北部に来ています。先月の西表島に引き続き、大陸島の生物多様性の高さを感じているところです。南西諸島で最大の島ですから、多様性が高いのは当たり前かもしれませんが。 北部の森林(イタジイと呼ばれるシイが優占する常緑広葉樹林) 沖縄といっ…

亜熱帯大陸島・西表島を訪問

西表島を訪れています。帰国後の寒さで顔にあかぎれができそうなほどでしたが、当地ですっかり回復しました。やっぱり南の島は心地よいです。 大きな地図で見る ここ数年、小笠原諸島やハワイ諸島といった海洋島でのフィールドワークがメインでしたので、南…

除菌ハンドジェル

野外調査ではいろいろな生物に触れることでしょう。個人的には植物に集まる昆虫に関心があるのですが、動物の糞や死体に集まる昆虫も大好きだし、他にもカタツムリなんかをみるとついつい触ってしまいます。ただ、そんな手のままお弁当を食べるのはちょっと…

ハワイのファイトテルマータ

自然をどう観るか、という「自然観」は人によってさまざまでしょう。物理学者がみる自然と生態学者がみる自然では、おそらく同じものをみても全く異なった「もの」をみているに違いありません。 生き物のあり方をみる生態学者の自然観もまた人によって異なる…

ハワイの珍奇なる虫たち(8)樹上に進出したヨコエビ

先日夜間に調査する機会がありました。場所は、オアフ島の標高700mくらいの尾根部で、おもにオヒア(ハワイフトモモ)の低木林で構成される原生植生です。 懐中電灯でオヒアなどの樹冠部を照らして観察していると、ピョンピョンと跳ねる1cmも満たない「むし…

ハワイでキャンプ:絶滅種の再発見をめざして

ハワイマイマイ類(Achatinella)は約100種が知られていますが、その多くが絶滅したと考えられています。特にオアフ島はハワイマイマイの種数が多く(42種)、人による攪乱が最も大きいため、絶滅種(もしくはその絶滅危惧種)が最も多い島でもあります。 他…

コアは複葉と単葉をもつ:適応的な意義は?

ハワイの天然林を構成する樹種として、フトモモ科のオヒア(ハワイフトモモ Metrosideros polymorpha)とマメ科のコア(Acacia koa)が最も代表的です。いずれもハワイにのみ見られる固有種ですが、いずれの島にも分布し、少し山に入ればどこでも見られる樹…

美味しい外来植物

先日山に行ったら、フトモモ科のストロベリーグアバ(Psidium cattleianum)の果実が赤く熟していました。手に取って食べてみたら、甘酸っぱくて美味しい。果実を集めてジャムをつくっている人もいるとか。 ハワイでは、ブラジルから持ち込まれたものが帰化…

マノアの滝

最近は梅雨のような天候でしたが、今日は久しぶり快晴で梅雨明けのような暑さでした。いつも机から眺めているマノアの谷も雲がかかっていません。マノアの谷の奥には大きな滝があるそうで、一度訪れておこうと昼食後出かけてみました。自転車*と徒歩で訪れ…

‘Apapane’ に出会えた日

先月に引き続き、昨日はオアフ島の最高峰Kaala山に連れていってもらいました。平地は絶好の天気でしたが、やはり山頂部付近は曇り時々雨という感じでした。雨は雨で、カタツムリたちが動き出すので観察するには良い機会です。それでも、ごくたまに雲の隙間か…

カメレオン・ハンティング

ややかた苦しい話題が続いたので、フィールドの話でも。 今日はBさんらと一緒にカメレオン採集に行きました。 ハワイには、ジャクソンカメレオン(Jackson's Chameleon; Chamaeleo jacksonii)というアフリカ(タンザニア)原産の大型カメレオンが帰化してい…

‘Hawaiian Blue’ に出会えた日

憧れていた生物にフィールドで出会うことはとても嬉しいことです。ということで、たまにはフィールドに出かけたお話でも。 Bさんらが高校生二人を連れてハワイマイマイの調査に行くというので(参考)、同行させてもらうことにしました。 道中、学部生と高校…

オアフ島最高峰へ:雨中の調査行

たまには小難しくない話題も。 昨日は、BさんとPさんらに、オアフ島の最高峰、カアアラ山(Mt. Ka'ala:4003ft = 1220m)に連れていってもらいました。US Armyの管理する道路を通って山頂部近くまで車で行くことができました。もちろん、US Armyの無脊椎動物…

海岸植物:外来種それとも在来種?

Thanksgivingと呼ばれる感謝祭が終わりました。研究室の先生のホームパーティーに呼んでいただいて楽しく過ごせました。 先日、オアフ島の西岸を訪れたとき、見慣れた海岸植物が多数観察できました。日本の南部の海岸には普通に見られるグンバイヒルガオ、ク…

オアフ島のコアホウドリ:メス同士の子育て?

土曜日はBさんらにオアフ島の西端のKaena Point付近まで連れて行ってもらいました。 当地周辺では、毎年、コアホウドリが数十ペア繁殖する場所として著名で、繁殖はまだのようでしたが、すでに成鳥はやってきていました。ま、オアフ島(Oahu)とコアホウドリ…