オアフ島最高峰へ:雨中の調査行

 たまには小難しくない話題も。

 昨日は、BさんとPさんらに、オアフ島の最高峰、カアアラ山(Mt. Ka'ala:4003ft = 1220m)に連れていってもらいました。US Armyの管理する道路を通って山頂部近くまで車で行くことができました。もちろん、US Armyの無脊椎動物担当のSさんと一緒です。Sさんはハワイ大の修士で外来ナメクジの研究をしていたので、皆とも顔なじみです。2年前にハワイに来た時にもSさんに案内してもらったのですが、そのテンションの高さ(元気の良さ)にびっくりしたものです。ナメクジを見るとそのテンションはさらに上がります。皆は彼女のことをfunnyと評していますが、日本ではあまり見たことがないタイプです。しかし車の中で彼女が披露していたstring figure(あやとり)を見て、日本ならお転婆と言われるだろう女の子に近いかも、とふと思えました。string figureは、日本だけでなく世界各国に見いだされる遊び(またはコミュニケーションツールの一種)だそうです。日本と共通する形もありましたが、その解釈(何に見えるか)が微妙に異なるのに興味を覚えました。しかし、私自身も昔は「できた」はずなのに、今は全く覚えていないのに気づき、Sさんのfunnyさというのは、その「あやとり」の手技を維持していることと関係しているような気がしてきました。そういえば、今や古典となりつつある「ドラえもん」の「のび太くん」は、あやとりが異様に得意でした。

 さて、お昼頃に山頂部近くに到着。一般に島の高所は雲がかかりやすく、やはり山頂部近くは雨でした。しかし、カタツムリにとっては絶好の天気です。樹上性のカタツムリをたくさん見ることができました。また、山頂付近には、湿地帯がひろがっており、低木林がひろがっていて、その景観はとても印象に残るものでした。先日紹介した、ロベリア(属は Cyanea)も初めて見ることができました(写真)。
http://d.hatena.ne.jp/naturalist2008/20081218/1229630357



 山頂部付近の気温は、59F(=15℃)で、雨に少しぬれたこともあって、久しぶりに寒さを感じました。さすがに、山間部では目的の外来種(カタツムリ食のリクウズムシ)は見られず、低い標高の場所でようやく1頭を見つけることができたのみでした。

 ハワイの外来種は、まず低地に侵入するため熱帯性の種が多く、低温の高標高域には進出できず、在来種の多くが山間部にかろうじて生き残っていることが多いようです。しかし、一部の熱帯性種や、温帯域の外来種は徐々に高標高域にも進出し、在来種を脅かしています。外来種が在来種に与える影響を標高に沿って調査していくのは重要なのです。

 いろいろな生物を観察して、さらにその進化や生態、保全に興味がわいてきました。好奇心を養うには、野外での観察が必要であることを感じた一日でした。