2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

海洋島のカエル(1)固有種の発見

「カエルを含む両生類はもともと海洋島には分布しない」というのが定説です。実際、ハワイ諸島、ガラパゴス諸島、小笠原諸島といったいわゆる海洋島にはカエルの在来種は全く分布していません。 これは、両生類には一部の種をのぞいて海水などに対する耐性(…

島が大きくなると食物連鎖長がのびる

島の面積が大きくなると、種数が多くなる、体サイズも大きくなる、種分化がおこりやすいなどが知られてきました。 島が大きくなると種数が増えることから、種間の食う食われる関係の数、つまり食物網(Food web)のサイズも大きくなるでしょう。食物網にはエ…

美味しい外来植物

先日山に行ったら、フトモモ科のストロベリーグアバ(Psidium cattleianum)の果実が赤く熟していました。手に取って食べてみたら、甘酸っぱくて美味しい。果実を集めてジャムをつくっている人もいるとか。 ハワイでは、ブラジルから持ち込まれたものが帰化…

予備データの重要性

今日は、研究室のアシスタントによる内輪向けのセミナーに参加しました。お昼時ということで、ピザに加えてビールまで振る舞われました。平日のお昼からビールを飲むという発想がすごいなあとは思いつつ、私は辞退しましたが(教員もさすがに飲んでなかった…

島の法則 Island Rule(5)昆虫や植物は?

島での体サイズの巨大化と矮小化(Island Rule)は、主に哺乳類など脊椎動物に焦点があてられてきました。植物や無脊椎動物ではどうでしょうか。 植物では、本来草本性だった種が島で木本化して体サイズが増加する場合があります。しかし、この現象自体が Is…

島の法則 Island Rule(4)一般性への批判

島での小型動物の巨大化と、大型動物の矮小化について具体例をいくつもあげてきました(Island Rule 1、2、3)。これまで読んできた論文の多くは、どちらかといえば、Island Rule に従う動物群をなるべく多く見つけるという作業にあたるものでしょう。これら…

島の法則 Island Rule(3)巨大化した鳥たち

鳥類もまた島では巨大化する(Island Rule)。 海洋島での鳥類の大型化は同時に、飛翔能力の消失や植物食への食性変化などを伴うのは注目すべきことでしょう。 「鳥が飛ぶ」というのはあたりまえですが、これには多くのコストを払っていると言われています。…

島の法則 Island Rule(2)ヒトも島では小型化した?

ゾウ、カバ、シカといった大型哺乳類は、島環境では矮小化(小型化)する傾向にあり、これを Island Rule と呼んでいます。では、同様に大型哺乳類であるヒトはどうなのでしょうか。島国である日本に住む人々は大陸(中国、韓国など)の人々に比べて小型化し…

島の法則 Island Rule(1)動物の巨大化と矮小化

島では、大陸の個体群または近縁種に比べ、小型動物では体サイズが増加し(巨大化:Gigantism)、大型動物では体サイズが減少する(矮小化:Dwarfism)ことが知られています。 具体例をあげましょう。チャンネル諸島にかつて生息していたマンモスは大陸(カ…

島が大きくなると体サイズが増加する?

体の大きさは動物にとって最もシンプルかつ重要な形質の一つでしょう。ゾウ、キリンが人気があるのは大きいからに他なりません。同じグループに属する動物の体サイズの地理的変化には一定の規則があることが知られています。 たとえば、「動物の体が北方に行…

島が小さくなるとクモの密度が増加する

島の面積が大きくなると種数が多くなります(島の面積と種数の関係)。しかし、アバンダンス(個体数)や密度はどうでしょうか。 カリブ海やカリフォルニア湾の小さな島々では、半島部や大きな島に比べて、クモやトカゲの密度が高くなることが知られています…

査読コメントが辛いわけ

いわゆる研究者にとって大事な仕事はいくつかあるわけですが、若手研究者にとって最も大事なことは論文を書くことかと思います。 科学論文が出版されるまでにはおおまかに以下の過程を経るのが一般的でしょう。(1)アイデアを練る(仮説をたてる)、(2)…

ハワイ固有ハナバチの起源と急速な種分化

ハワイ諸島にはもともとミツバチやマルハナバチ、ハリナシバチといった社会性のハナバチ類はもともと分布していませんでした(現在では人の手で持ち込まれ定着している)。 社会性ハナバチの女王は、海を渡って隔離された島に渡ることができないことと関係が…

ハワイ固有コオロギの急速な種分化

ハワイ諸島は、各島のおおよその形成年代がわかっているため、その値を使って、各島の島固有種の起源を推定することがしばしば行われています(参考)。例えば、現在ハワイ島にのみ分布する固有種は、ハワイ島の形成時期である43万年前より昔には分化してい…