2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ハワイモンクアザラシの遺伝的多様性

今日(金曜日)はセミナーの日。 午前と午後は同じスピーカー(大学院生)によるものでした。前半は、主にレモンザメ類の系統地理、後半は Ph.D.Defense で、ハワイモンクアザラシの遺伝的多様性についてでした。いずれも分子データをもちいた研究で、成果は…

クリスマス島のお護り:固有のカニ red crab

在来捕食者が、外来種の侵入を防ぐという考え方については、biotic resistance hypothesis(生物的抵抗仮説)として紹介しました。最悪の外来種・アフリカマイマイの侵入を、島の固有種が防ぐという研究があります。 クリスマス島という海洋島がインド洋にあ…

食べる方から見た場合:植食者は外来植物を好んで食べるか?

外来植物が在来植物より食べられやすいか、また食べられにくいか、という話は、植物側から見た話です。一方で、植食者(植物を食べる動物)から見て、外来植物と在来植物のどちらを好んで食べのか、同じなようですが少し違います。つまり、植食者にも外来種…

外来植物は在来植物より食べられにくいか?

外来種の侵入地での動向を左右する要因を調べることは、外来種管理という応用的な観点から重要なのはもちろんですが、基礎的な観点から(生態学的にも)非常に興味深いテーマであるわけです。 外来植物*1で具体的な研究を紹介します。 外来植物と在来植物で…

会議の季節

ハワイも冬で長袖が必要な季節です。それなのに建物の中では常に冷房が入っていて寒いくらいです。 日本の研究所では会議の季節です。今年度の途中までプロジェクトに関わっていたので、会議で使うパワーポイントを作成して送信しました(発表はプロジェクト…

外来種が定着する/しないメカニズム:二つの仮説

なぜ外来種が定着に成功するのか、またしないのか。 以前に、外来植物の送粉や種子散布を手伝う外来種や在来種がいることにはふれました。しかし、実際、植物が繁殖に成功したとしても、その実生が侵入地で生き残ることができるかどうかは別の要因がからんで…

研究室:閑散

今の研究室には、ごく最近まで博士課程の大学院生が何人かいたようですが、家族の事情などがあってハワイを去ってしまったそうです。そして、今日、Kさん夫妻が研究室を訪れ、皆とハグして、新たな任務地であるワシントンへと去っていきました。米国では、Ph…

ハワイの珍奇なる虫たち(3)カザリバガの驚くべき生態と多様性

ハワイの珍奇なる虫として、(1)肉食しゃくとりむし、(2)爪で獲物を狩るクモについて紹介しました。 今回もまたガの幼虫の話です。 ハワイには、一種の祖先から驚くべき種数へと放散した生物が知られています。これまでに紹介したロベリアやハワイマイ…

セミナーと送別会

最近、Bさんが実験を教えたいというので、学部生に混じってDNA抽出とPCRを習っています。実は、ピペットを持つのも十数年ぶりで、DNAに関する実験は一度もしたことがありません。最初、「パイペットを持って」と言われても、何を持つのかさえわからないあり…

ダーウィンによる講義

休みの間に更新したいと言いながらも結局できませんでした。 というのも、連休中に、投稿していた論文の掲載を断る(リジェクト)Eメールを受け取って、なんだか勉強する気にならなかったからです。3ヶ月に一度はこのてのメールをもらうのですが(ハワイに来…

ダーウィンのイベント

今週は机に座っている時間が少なく、更新があまりできませんでした。いろいろ書きかけの記事もあったので、この連休(月曜日は祝日)を使って、更新しておきたいところです。 ダーウィンの200回目の誕生日(2月12日)には、ハワイ大学の図書館でいくつかのさ…

‘Apapane’ に出会えた日

先月に引き続き、昨日はオアフ島の最高峰Kaala山に連れていってもらいました。平地は絶好の天気でしたが、やはり山頂部付近は曇り時々雨という感じでした。雨は雨で、カタツムリたちが動き出すので観察するには良い機会です。それでも、ごくたまに雲の隙間か…

カメレオン・ハンティング

ややかた苦しい話題が続いたので、フィールドの話でも。 今日はBさんらと一緒にカメレオン採集に行きました。 ハワイには、ジャクソンカメレオン(Jackson's Chameleon; Chamaeleo jacksonii)というアフリカ(タンザニア)原産の大型カメレオンが帰化してい…

生物的防除が落とした影(1)肉食のカタツムリ

動物学や植物学、菌学、昆虫学などの研究者は、生物の生活史や生態を明らかにして、その結果を専門誌に発表します。その過程で、その成果が何か人の役に立ったら良いなあと望むことは一般的でしょう(私もたまに思います)。しかし、その成果が一人歩きして…

最大最悪の外来種

ハワイでも雨上がりにはしばしばアフリカマイマイ(英語でGiant African Snail)に出会います。日本でも沖縄や小笠原では嫌と言うほど見る機会があるのですが、その他の地域の人には見慣れないカタツムリでしょう。 本種は、名前からもわかるようにアフリカ…

洗濯機とコイン

あっという間に時間が過ぎる今日この頃です。暑さや寒さを感じないので、気づいたら時間が過ぎているという感じでしょうか。集中しやすい分、疲れもたまりやすいのです。そろそろ、適度に集中して、適度に休息をとるというバランスを大事にしたい年頃です。 …

共生関係が外来種の定着を促進する

外来種が定着するにはどのような要因が重要か。この要因を明らかにすることは、生態学的にも興味深い命題であるし、外来種による在来生態系への影響を何とか緩和していく上で重要でしょう。 例えば、庭木など観賞用として持ち込まれた外来の植物が、どのよう…

海洋島では ‘Super Generalist’ が進化する

隔離された海洋島では独自の進化が起こってきたことは繰り返し紹介してきました(例えば、「島の固有種:その進化」)。その要因の一つが、陸上生物がゼロ(一次遷移)からスタートすること、そしてそこに(自然に)侵入してくる種が少ないことがあります。 …