カメレオン・ハンティング

 ややかた苦しい話題が続いたので、フィールドの話でも。


 今日はBさんらと一緒にカメレオン採集に行きました。


 ハワイには、ジャクソンカメレオン(Jackson's Chameleon; Chamaeleo jacksonii)というアフリカ(タンザニア)原産の大型カメレオンが帰化しています。1970年代に、ペット業者が30数頭を逃がしてしまったことからハワイで帰化してしまったようです。オスの3本の角は立派で、Bさんとこでも飼育されています。その名もフランキー。


 基本的には昼行生なのですが、背景にとけ込む色(隠蔽色)をしているので発見しにくいとのことです。夜は背景の色とは関係ない場所で休んでいることが多いようで、夜に枝先にライトをあてて探すと、眠っているカメレオンを見つけることができるというわけです。


 真っ暗になってからBさんの車で山に向かいました。車で走りながら強力なライトをあててカメレオンを探します。子供のカメレオンは数個体捕獲することができたのですが、大人は木の上の方にいることが多く、捕獲を断念することも多かったのが残念でした。他に、小笠原でおなじみだったグリーンアノール(もちろん外来種)にも再会し、楽しい一時を過ごしました。



ジャクソンカメレオンの子供のオス(ちゃんと小さな角が生えています)


 ジャクソンカメレオンの生態には、オス同士の角を使った闘争や、ディスプレイ時のオスの体色変化、繁殖様式(なんと、卵胎生らしく、卵を体内でかえして子供を産むらしい)など興味深いことばかりです。餌は、昆虫など節足動物などで、ちゃんと舌をのばして捕獲して食べるのは、改めて見るとやっぱりおもしろい!他に、カタツムリも食べてしまうこともあるとか(下のYouTube参照)。


 木をつかむための脚の指は、さながら人間や猿のようで、握手もできてしまいます。シッポも長くて巻き付きやすく、これまた樹上性のサルを思い出させます。あとは、360度見渡せそうな、自由自在のキョロキョロした眼でしょうか。カメレオンの魅力はつきません。


ジャクソンカメレオンのオス間闘争(YouTubeより)
http://www.youtube.com/watch?v=iWUeNo-YMLw


ジャクソンカメレオンの一般的捕食シーン(YouTubeより)
http://www.youtube.com/watch?v=50riqMLao6I


ジャクソンカメレオンのカタツムリ捕食シーン(YouTubeより)
http://www.youtube.com/watch?v=I2WLTqE5sgU

 
 ハワイで帰化してしまったカメレオン。在来生態系に与える影響はよくはわかっていません。したがって、さすがに駆除(もしくは根絶)しようという動きは今のところないようです。


 ちなみに、ジャクソンカメレオンはBさんとその学生さんたちの研究テーマの一つで、この調査も研究の一環であったのは言うまでもありません(なんて、楽しそうな研究でしょうか)。