2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ハワイの珍奇なる虫たち(6)葉にもぐるガガンボ

そろそろこの「ハワイの珍奇なる虫たち」シリーズもネタ切れになりつつありますが、今回はお気に入りの内容です。 ガガンボ(双翅目ガガンボ科)といえば、一般の人には「大きな蚊」程度にしか認識されていないかと思います(ハエの仲間です)。通常、ガガン…

なぜ熱帯に植食性昆虫が多いのか?(まとめ)

熱帯林ではなぜ植食性昆虫の種が豊富なのか? 熱帯林での植食性昆虫の多様性に関する論文を何編か読んできました。これまでの研究をまとめた総説が出ていますので、これに沿って整理しておきます。 主に四つの要因によって、熱帯林では温帯林よりも植食性昆…

熱帯ほど植食性昆虫の寄主植物特異性は高いか?

植食性昆虫の寄主植物特異性が高いとは、餌として利用する植物の種数が少ないことを意味します。つまり究極には1種類が最も高い寄主特異性です。古くから、熱帯の植食性昆虫ではこの寄主特異性が高いと言われてきました。 しかし熱帯ではイチジクのような近…

世界で最も絶滅してしまった生物とは・・・

すでに地球上から姿を消してしまった絶滅生物といえば何を思い浮かべるでしょうか。最近では中国のヨウスコカワイルカが絶滅したと言われて話題になりました。日本だとニホンアシカが絶滅種です(そういえば、最後の記録は竹島でした)*。 絶滅種に関しては…

植食性昆虫群集の熱帯林と温帯林での比較

熱帯林には非常に多くの種類の節足動物が生息していることが知られています。 しかし温帯に比べどれくらい熱帯で種数が多いのでしょうか。植物の葉っぱを食べる植食性昆虫の種数を、寄主植物との関係に着目し、熱帯と温帯で比較した研究があります。 ニュー…

地球上には何種類の生物が生息しているのか?

地球上に何種類の生物がいるのでしょう。 答え:わかりません。 現在名前がつけられているだけで百数十万種類と言われていますが、名前もついていない種類がどれだけ生息しているかわからないからです。しかし、推定は可能かもしれません。Terry L. Erwin と…

種数の多い島ほど固有種が生まれやすいか?

これまで固有種というのは、ハワイ諸島固有種とか、小笠原諸島固有種といった諸島固有の意味で使ってくることが多かったように思います。そういった固有種の中には、オアフ島固有種、カウアイ島固有種といったように、特定の島にしか見られない単島固有種(s…

群集が収斂する:ハワイのアシナガグモ

ハワイの生物としてクモをとりあげることが多いような気がします(網を使わず爪で狩るクモ、クモの笑顔もいろいろ)。ハワイのクモを材料に勢力的におもしろい論文を書いている研究者がいるからでしょう。ちょうどニュージーランドでも話題にされています。 …

最近侵入した甲虫

先日大学内で拾った甲虫(3050 Maile Way, Honolulu, HI; 6 Apr. 2009) 。どうもオオナガシンクイ(Heterobostrychus hamatipennis)の♂のようです。昔、京都の伏見稲荷でよく拾ったやつです。懐かしい。 ハワイの節足動物チェックリスト(2002)に掲載され…

島が大きくなるほど種分化がおこりやすい

島の面積ー種数関係(島が大きくなると種数が増える関係)は、島における種の移入と絶滅によって生じます(参考)。つまり、島における移入率は島の面積とともに増加し、絶滅率は島の面積の増加に対し減少し、その動的平衡点がその島の種数となるというわけ…

サイエンス・タトゥー

先日ダイオウイカのタトゥーについて話題にしましたが、数式、化学式、心臓、心臓、DNA(二重螺旋)、精子、フィンチの嘴、カブトガニ、サソリ、イチジクコバチ、クマムシなどなどいろいろな科学にまつわるタトゥーがあるようです。ダーウィンの肖像画まで・…

島で草が木になる理由:偉人たちの仮説

本来、草である種が、隔離された海洋島などで木本化するということがあることは以前にふれました(島で木になる植物)。 小笠原諸島の固有種ワダンノキ(キク科) なぜ木本化するのか? いくつかの仮説が提唱されています。 1. Competition Hypothesis(競争…

散髪メモ

伸びないと困るお歳頃とはいえ、やっぱりうっとうしいのでハワイではじめて理髪店に行ってみました。Rさんに教えてもらった学内にある古びた理髪店。日本との違いは、大きなうつし鏡がなかったこと。完成するまで全貌は明らかにされないままバリカンやらでガ…

学生の発表を目的としたシンポジウム

4月の1日から3日かけて動物学部開催のシンポジウムがありました。どうも、動物学部に所属する学生たちの研究発表の場としてのシンポのようです。大学院生(graduate student)を中心に、15分(12分の発表と3分の質疑応答)のトークがたくさん行われていまし…

論文査読の黄金律

論文の査読システムについては何度か触れてきました。論文を発表することは研究者にとって最も大事な仕事といえます。しかしその発表にあたっては、同じ分野の研究者による査読(審査)を受けることが一般的です(peer review system)。論文を投稿してその…

ダイオウイカの墨を入れる

米国のプロスポーツ選手は腕にタトゥー(入れ墨)をしている印象があります。NBAなどバスケットーボールの選手は特に露出度が高いのでよく目立ちます。町中でも普通にタトゥーを入れている人を見かけます。とはいえ、比較的年配の人(4,50歳以降)にとっては…