2009-09-01から1ヶ月間の記事一覧

著者数の多い論文ほど引用されやすい?

論文が他の研究者によって読まれ、他の論文で引用されることが科学の健全な流れといえるでしょう。多くの論文に引用されるほどその論文の評価が高まり、執筆者の評価も高まるということになります。 これまで、専門誌に論文が投稿された時、論文著者の母国語…

生物的防除が落とした影(3)タヒチでカタツムリが大量絶滅?

陸産貝類(いわゆるカタツムリ)は、特に島では固有種が多くその移動能力の小ささや分布域の狭さから、世界でも最も絶滅しやすい生物群の一つです(参考:世界で最も絶滅してしまった生物とは・・・)。 絶滅の主要因として、人が島に入植した時代では生息地…

ダーウィンが投稿していた雑誌

自然選択説を提唱したダーウィン(Charles Darwin)は、職業的な研究者(大学教授など)というわけではなく、いわゆる資産家で自宅で研究を行ってきた19世紀の博物学者です。彼の著名な業績の多くは、本という著作物として出版されているわけですが、彼自身…

生態的ネットワーク:最も狭い世間

「世間って狭いなぁ」というほどに、人と人との関係は近い。英語では、「It's a small world」と言われます。例えば、知り合いの知り合いの知り合いをたどっていけば、多くの人はだいたい5人ほどで日本の総理大臣までたどりつけるでしょう。人によってはもっ…

外来種による間接効果

外来種が在来種に影響を与えるというのは、直接捕食したり、干渉したりするのを直接的な効果(Direct effects)とするなら、第三者を介した影響を間接効果(Indirect effects)とよんでいます。外来種問題は、近年、この間接効果を念頭におかないと、外来種…

ハワイの学校は金曜日が休みに?

Hawaii teachers agree to 17 furlough days ― a 7.9% loss in pay 知り合いの奥さんが公立小学校の先生をやっているので、こんなニュースを耳にしました。どうも、大学をのぞくすべての公立学校の先生の給与が約8%カットになるという(2年間の)契約を労…

島から外来種を除去する順番

外来種が生態系に与える問題点を考えるとき、その外来種は他の外来種や在来種とも深く結びついていることを念頭におく必要があります。個体数が増加した外来種の場合はなおさらでしょう。 以前に、外来種のネコとネズミ、そして保全対象となる海鳥を考えたと…

研究者の評価

研究者の大事な仕事として、(1)論文を書いて専門誌に発表する、(2)これらの雑誌に投稿された論文を審査する、というのがあります。しかし、研究者としてその仕事が評価されるときは(職場での採用、昇進など)、発表論文をもとにされることが多いでし…

島に侵入した外来アリが固有鳥類による種子散布を阻害する?

植物の果実がしばしば色鮮やかに目立つのは、動物に食べてもらってその中に含まれる種子をよそに運んでもらうためでしょう。とくに、鳥は、さまざまな植物の果実を食べ、その移動能力の高さから、優秀な種子散布者といえます。 インドネシアの海洋島・クリス…

島の百科事典

島の生物学(生物相、進化、生態)と地質学に関する百科事典が出版されたようです。それぞれの分野で著名な研究者が、島の専門用語、動植物(ハワイミツスイやドードー、島ではないけど陸の島の湖の動物シクリッドなども)や代表的な島嶼部(日本列島やハワ…

研究室のミーティング

大学院生の時およびポスドクの時に属した大学の研究室では、それぞれ週一回のセミナーがありました。個々の院生が週替わりで研究を発表するというもので、その他事務連絡や話し合いもそのときに行われました。その後に移った独法研究所では、年に一回の研究…

御器被(ごきかぶり)

日本には、カタツムリを食べるマイマイカブリという甲虫がいます。「マイマイ(カタツムリ」を食べるときにその殻を被っているように見えることから、「マイマイカブリ(蝸牛被)」という名前ができたようです。 同様に、ゴキブリも「御器(ごき:食器)」を…

キューバのハシジロキツツキは別種で絶滅?

北米大陸にかつて分布していたハシジロキツツキは、カリブ海の大島、キューバにも分布していました。北米大陸と同様、キューバでもこの100年で急速に個体数を減らし、絶滅危惧種の代表的な存在です。 以前に少し触れたかもしれませんが、キツツキというのは…

絶滅種を再発見:絶滅カツオドリは現存する種と同一種だった

古くに絶滅したと思われる種について、その形態や生態がよくわかっていないことも多いでしょう。実際、すでに絶滅されたと考えられていたカツオドリの一種が、現存する種と同一種であることが報告されています。 ナショナルジオグラフィックニュース 「絶滅…

ハシジロキツツキの再発見をめぐる論争

絶滅を証明するには長い時間がかかることが多いのですが、一度でも再発見すれば即絶滅していなかったことになります(絶滅は“悪魔の証明”)。しかし、再発見をめぐっても興味深い論争がおこったこともあります。 北米に生息していた大型キツツキの一種ハシジ…

マダガスカルに固有の糞虫は森林破壊で半数が絶滅?―絶滅判定は“悪魔の証明”

国際自然保護連合(IUCN)のまとめたレッドデータによると、哺乳類は記載種のうち24%、鳥類では12%がすでに絶滅したことが知られているが、種数の多い昆虫ではわずか0.07%、甲虫に絞ると0.02%しか絶滅が記録されていないようです(参考)。 これは、哺乳類や…

自転車トラブル

自転車のタイヤがパンクしてしまったので、修理屋さんにとぼとぼ歩いて行ってきました。さすがに日中は日差しが強く暑かった。でも、ずっと風が吹いているので蒸し暑くはなく、良い汗をかいたという感じ。 どうも自転車にまつわるトラブルが多いです。幸い事…

島に固有のカタツムリが気候変動で絶滅?

島における種数の平衡理論に従えば、種の移入と絶滅が頻繁におこっているということになります。しかし、特定の島にしか残存しない種の場合、その絶滅はそのまま種の絶滅となってしまうでしょう。 セイシェル諸島に固有の Rhachistia aldabrae というカタツ…

8月の気温と心持ちの変化

夏休みも終わり新学期もはじまりキャンパス内は活気に満ちています。ここから12月のテストまで、学生は一生懸命勉強するという感じでしょう。 私はといえば、特に夏休みとしてまとめて休みをとったわけでもなく、日々たんたんと過ごしています。結局毎晩の気…