植物の果実がしばしば色鮮やかに目立つのは、動物に食べてもらってその中に含まれる種子をよそに運んでもらうためでしょう。とくに、鳥は、さまざまな植物の果実を食べ、その移動能力の高さから、優秀な種子散布者といえます。
インドネシアの海洋島・クリスマス島では、アシナガキアリの侵入により島の植生や生態系が大きくかわってきたことが知られています(参考)。その高密度になったアシナガキアリは、植物の種子とそれを運ぶ固有鳥類との関係にも影響を及ぼしているようです。
クリスマス島のアシナガキアリが侵入している地域としていない地域において、擬似果実(無毒無味無臭の染料で着色した粘土による人工果実)を使い、メジロとツグミの固有種による果実へのハンドリング行動とついばみ行動の頻度を比較した。
結果、人工果実への採餌行動は(ハンドリングおよびついばみ行動とも)侵入地域では未侵入地域よりも半分以下だった。また、本物の果実と人工果実を使って、果実にアリに集まっている状態と排除した状態で比較すると、本物果実からアリを排除すると3.5倍、人工果実から排除すると6.4倍ハンドリング行動が増加した。
アシナガキアリはスーパーコロニーを作り、カイガラムシと共生することで爆発的に個体数を増加させ、さまざまな生物間相互作用に影響を与えているのでしょう。