2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧

至高のレピ図鑑?

学生の頃、樹木につく様々な蛾(ガ)*1の幼虫を採集し、飼育して、その天敵である寄生蜂や寄生蝿を羽化させる研究をしていました(参考)。 採集した幼虫は、まず、保育社の「原色日本蛾類幼虫図鑑(全2巻)」(1965年)か、講談社の「日本産蛾類生態図鑑」(1…

アリバチ図鑑

「月刊むし」に掲載された「日本産アリバチ図鑑」がすばらしい。 月刊 むし 2011年 03月号 アリバチとは、アリとは全く異なる科に属するハチのグループ(アリバチ科 Mutillidae)です。雄には羽があるものの、雌はアリと同様に無翅なので、よくアリに間違わ…

クニマスの定着に導入圧は重要だったのか?

過去に絶滅したと思われていたクニマスが本来生息していなかった湖から再発見されたというニュースが昨年末にちょっとした話題になりました(参考:“絶滅”した幻のクニマスを発見)。10年くらい前学生だった頃に「むしクン」と呼ばれからかわれた身としては…

被子植物のうち87.5%の種が動物媒

そろそろスギ花粉が飛散する季節になってきました。スギはご存知のように風によって花粉が運ばれる風媒花をつけます。温帯から寒帯にかけて多く分布する針葉樹などの裸子植物では、風媒の種がほとんどです。一方、被子植物では、風媒の種の割合はそれほど高…

博物館標本の価値

気候変動による影響、絶滅種/絶滅危惧種の増加、外来種の移入/分布拡大、などなどさまざまな問題について、根拠となる長期データが必要とされています。特に、過去(例えば20世紀初期、古くは19世紀以前)の標本が貴重なデータを提供しうることはもっと認…

周辺環境が食物網を通じ害虫の大発生を抑える

天敵の多様性が高まれば害虫の個体数を低く抑えることが可能でしょうか? 実際、天敵が多様なほど、害虫を減らすということが報告されています(参考:有機農法が害虫の天敵の多様性を高め収穫量を増やす)。しかし、天敵の多様性が高い系で必ずしも害虫が大…

全動物種の記載にかかる推定予算

地球上の生物種は何種くらいいるのか、また未だ記載されていない種を全部記載するのにどれくらいの期間がかかるのか。では、それにかかる予算は? 最近 Trends in Ecology & Evolution 誌に出た短い論文で、全動物種の記載にかかるコストが推定されていまし…

全盲の博物学者

「博物館行き」という言葉にみられるように、現代では「博物学」とか「博物学者」と呼ばれるのは、あまり名誉なことではないかもしれません。しかし、自然史(ナチュラルヒストリー/natural history)を研究している学者を、ダーウィンやウォーレスの流れを…