ダイオウイカの墨を入れる

 米国のプロスポーツ選手は腕にタトゥー(入れ墨)をしている印象があります。NBAなどバスケットーボールの選手は特に露出度が高いのでよく目立ちます。町中でも普通にタトゥーを入れている人を見かけます。とはいえ、比較的年配の人(4,50歳以降)にとっては一般的でないようで、昨今の若者の愚かな行為であると切り捨ている人もいます。


 さて、実験で通っている研究室の学生の一人が最近タトゥーを入れました。これまで腕に下書きのような線がたくさん入っているのは知っていて、なにかの遊びかと思っていたのですが、本当に墨を入れてしまうとは・・・。しかし何の絵かは一見してはわかりません。で、たずねたところ・・・


Giant Squid


 巨大なイカ。そう、ダイオウイカだったのです(相対的な大きさを表すために樽も描かれていました)。ダイオウイカといえば世界最大の無脊椎動物で(体長6mくらいで最大20mという伝説もあり)、深海に生息し、マッコウクジラの餌としても知られています。深海に棲むためその生態は謎につつまれているのですが、近年日本人の研究者らによって小笠原近海ではじめて生きたダイオウイカの生態が撮影されたことは記憶に新しい。この学生もその論文を知っていたので、単にダイオウイカが好きなだけかも。が、しかし、いくら好きな動物とはいえ、永遠に腕に刻んでしまうその覚悟とはいったい・・・。



Wikipediaより


 タトゥーにたいした意味はないのかもしれないけれど、興味深い出来事でした。しかし同じ軟体動物でもGiant Snail(アフリカマイマイ)でなくて良かったと言うべきか。ちなみに驚いている私を横目に日本通のBさん曰く、


Oh! Yakuza



文献
Kubodera T, Mori K (2005) First-ever observations of a live giant squid in the wild. Proceedings of the Royal Society B 272: 2583-2586.


追記:ダイオウイカのタトゥーには襲われている人も描かれていました。