島での小型動物の巨大化と、大型動物の矮小化について具体例をいくつもあげてきました(Island Rule 1、2、3)。これまで読んできた論文の多くは、どちらかといえば、Island Rule に従う動物群をなるべく多く見つけるという作業にあたるものでしょう。これらを追っていく限りにおいては、Island Rule の一般性はかなり高いように感じます。
しかし当然のことながら、Island Rule の一般性には批判もあります。例えば、これまでの解析では、事例(種、亜種、個体群)間の系統関係をほとんど考慮していません。類似した傾向を示しやすい近縁種を多く含むと、疑似反復となってしまう可能性があります。
系統関係を考慮して解析した結果、Island Rule はそれほど広くあてまるものではなく、特定の分類群(食肉目、ポケットマウス科、偶蹄目での矮小化や、ネズミ科での巨大化)で見られるにすぎないという見解もあります。
ゾウやカバの矮小化、フローレス原人の発見などが印象的というのもあって、Island Rule の一般性が過剰に評価されているという批判です。