ハワイでキャンプ:絶滅種の再発見をめざして

 ハワイマイマイ類Achatinella)は約100種が知られていますが、その多くが絶滅したと考えられています。特にオアフ島はハワイマイマイの種数が多く(42種)、人による攪乱が最も大きいため、絶滅種(もしくはその絶滅危惧種)が最も多い島でもあります。


 他の生物の例にもれず、ハワイマイマイも数十年にわたって生存が確認されない場合、「絶滅種」というカテゴリーに含められるようになります。しかし、再発見の機会はゼロではありません。これは、絶滅を確認することが厳密には難しいからです(参考:絶滅種は悪魔の証明)。



数十年記録のないハワイマイマイの一種(写真はかなり古くに採集された殻標本)


去年、数十年間記録がなかったハワイマイマイの一種が、オアフ島で登山をしていた写真家によって撮影されました。この情報をもとに、米軍の保全グループを中心に、6度にわたっておおがかりな探索が行われてきましたが、生存を示す十分な証拠が得られていません。今回、この遠征に連れて行ってもらうという機会にめぐまれました。しかも、二泊三日のキャンプに加えてヘリコプターでの輸送つきという滅多にない経験でした。



ヘリコプターで資材を運ぶ



ヘリコプターで人も運ぶ

 
 調査地周辺は、急峻な崖の上にある尾根で、常に霧に覆われていました。オヒアの低木を中心とした天然植生です。



調査地周辺の尾根(常に霧がかかる雨霧帯)


 雨が多く、湿度が極めて高いため、決して快適な野宿というわけにはいきませんでしたが、興味深い体験も多かったです。例えば、朝日で自身の影の周りにできたブロッケン現象を見ることができました。仏様の降臨を感じて「御来迎」と呼んだのはこのことでしたか。



ブロッケン現象(中心は私自身の影)


 残念ながら目的の「絶滅種」の発見には至りませんでしたが、いろいろと観察できたこともあるので、機会があればおいおい紹介したいと思っています。