サムライアリの季節

 昨日の夕方、研究所の構内でアリの行列を見つけました。ひょっとして、と思いしばらく観察していると、その集団はクロヤマアリの巣に入っていきました。



クロヤマアリの巣に入り込むアリの集団


さらに観察を続けると、巣の中から繭を運び出しています。



クロヤマアリの繭を運び出すアリ


そう、サムライアリの奴隷狩りと呼ばれる行動です(Wikipedia:サムライアリ)。


 サムライアリは、自らは(奴隷狩り以外に)働かず、もっぱら他種(クロヤマアリなど)の巣から繭を強奪します。そして自らの巣で羽化したアリをワーカーとして使役するというわけです。いやはや恐ろしいアリたちです。


 ちなみに、サムライアリは北米やヨーロッパに近縁種が分布しており、日本産は1911年に我らが先輩(?)矢野宗幹によっての英国の昆虫学雑誌 Psyche にて記載されたらしい。


文献
Yano, M. (1911) A new slave-making ant from Japan. Psyche 18: 110-112.


 渡米する前にも、同じ場所、同じ季節の夕方によく目撃したものです。


 「サムライアリの奴隷狩り」は、夏の風物詩といえるかもしれません。