行動

社会性昆虫のいなかった島:外来スズメバチの脅威

ハワイ諸島は、太平洋の真ん中から出現した海洋島で、しかも他の陸地から数千kmも離れているため、そこにたどりつく生物はごく限られていました。例えば、ハワイくらい温暖な地域ではどこでもいるアリ類が分布しなかったと言われているのはその一例でしょう…

島での道具使用と食性進化

ガラパゴス諸島のような海洋島では、興味深い食性が進化することがあります。以前に紹介した、イグアナやゾウガメの糞を食べるガの幼虫はそのひとつでしょう。 ガラパゴスで放散したダーウィンフィンチにも興味深い採餌方法や食性をもつ種が進化してきました…

外来種同士の新しい関係

虫好きの人にとってはツノゼミはとても気になる昆虫です。熱帯域ではツノゼミの多様性や個体数が多いことはよく知られていますが、その存在はアリとともに認識されると言ってよいでしょう。アブラムシとアリ、カイガラムシとアリの共生関係と同様、ツノゼミ…

ゾウは泳ぐ:島への分散説からネッシー説まで

現存する最大の陸上動物といえばゾウでしょう。現在はアフリカとアジアに分布しています。島に分布するゾウといえば、現在はスリランカ(セイロン島)、ボルネオ島、スマトラ島から知られていますが、かつてはいろいろな島に分布していたことが(新生代後期…

両生類のいなかった島:カエルに食べられた鳥

今日のセミナーは、ハワイ固有の水鳥であるハワイセイタカシギ*の研究についてでした。 Wikipediaより セイタカシギですから、もちろん湿地に生息し、繁殖もそこで行われます。ふ化率は比較的高いにも関わらず、ヒナの死亡率が極めて高いようで、マングース…

ハワイの珍奇なる虫たち(6)葉にもぐるガガンボ

そろそろこの「ハワイの珍奇なる虫たち」シリーズもネタ切れになりつつありますが、今回はお気に入りの内容です。 ガガンボ(双翅目ガガンボ科)といえば、一般の人には「大きな蚊」程度にしか認識されていないかと思います(ハエの仲間です)。通常、ガガン…

アッテンボローの魅力:カメラのシャッター音をマネる鳥

先日何かの話の中で、Rさんがあのアッテンボローに会ったことがある、ということを伺いました。 Sir. David F. Attenborough は、英国の有名プロデューサーで、BBCで多数の自然番組を手がけ、自身がその番組にも登場しているので、実際にテレビで観たことが…

泳いで海を渡るネズミ

本来分布しないはずのネズミが人間の活動を通じて侵入し、島の生物相や生態系に与える影響は深刻です(参考)。ネズミ類は、在来植物の種子を食害し更新を妨げたり、在来鳥類の卵やヒナ、また昆虫、陸貝を捕食したりします。また、島に限らず、ネズミ類は悪…

クリスマス島のお護り:固有のカニ red crab

在来捕食者が、外来種の侵入を防ぐという考え方については、biotic resistance hypothesis(生物的抵抗仮説)として紹介しました。最悪の外来種・アフリカマイマイの侵入を、島の固有種が防ぐという研究があります。 クリスマス島という海洋島がインド洋にあ…

キツネザルの合法ドラッグ?

日曜の昼下がり、ぼけ〜っとANIMAL PLANET(ケーブルテレビの番組)を観ていたら、マダガスカルのクロキツネザルのおもしろい生態を放映していました。さっそくウェブで調べたら、YouTubeにもアップロードされていました。http://www.youtube.com/watch?v=KQ…

ハワイの珍奇なる虫たち(2)網を使わず爪で狩るクモ

ハワイ諸島で独自に進化した興味深い生態の第二弾として、網を使って獲物を捕るのをやめてしまったクモの生態をとりあげてみました。 ハワイ諸島、カウアイ島にのみ生息するアシナガグモ科の一種、Doryonychus raptorは、前脚の先端にある爪が、他の種に比べ…

ハワイの珍奇なる虫たち(1)肉食しゃくとりむし

外来種や保全に関しては、基本的には暗い話題が多いものです。しかし、仕事として誰かが取り組むべき問題であるとも思うのは昨日述べたとおりです。とはえ、ここではもっと自然の魅力を感じてもらえるような話題も加えていけたら良いかなとは思います。魅力…

サメの求愛:ネムリブカは噛み付いて交尾する

受け入れ研究者である先生は、ハワイ大学の研究センターに所属していますが、同時に動物学部(Department of Zoology)の教員(Facultiy)も兼ねています。最近、動物学部の大学院生によるPh.D(博士号)を取得するためのPh.D Defense(博士論文の口頭試問)…

海藻を食べるヘビ:島から海へ

ハワイには、危険な陸上動物はほとんどいません(ヒトくらい?)。熱帯地方といえば想像してしまう猛毒のヘビもいません。小型種のブラーミニメクラヘビという土壌動物(アリとかシロアリ)を食べるミミズそっくりの外来種がいるだけです。琉球や小笠原にも…

イグアナの糞を食べるガ

最近知り合った、近所の研究室のPさんは、スイスからやってきたポスドクで、ガの分類や分子系統を専門とされているらしい。大学院では、ガラパゴスに固有のガを材料に研究されていたとか。 ガラパゴスといえば、ガラパゴスゾウガメやイグアナ(ウミイグアナ…

オアフ島のコアホウドリ:メス同士の子育て?

土曜日はBさんらにオアフ島の西端のKaena Point付近まで連れて行ってもらいました。 当地周辺では、毎年、コアホウドリが数十ペア繁殖する場所として著名で、繁殖はまだのようでしたが、すでに成鳥はやってきていました。ま、オアフ島(Oahu)とコアホウドリ…