メールで論文請求

 職場で図書委員というのをやっています。確か中学1年生の時以来です。中学生の頃の図書委員会では廃棄する本を決めたりしたことを覚えていますが、今は研究所で購読する学術雑誌を決めたりすることが主な仕事です。


今の職場ではNatureやScienceの冊子は購読しているものの、インターネットで自由に論文のPDFをダウンロードすることはできません(電子購読の契約はしていない)。少しでも科学にかかわっている研究所なのに、そんな時代遅れのことで良いのだろうかと思ってきました。しかし、こういう委員会に出席してはじめて購読料なるものを教えてもらうと、小さな規模の研究所では(研究費が限られているので)ダウンロードの契約ができないのも仕方がないのかなと思えてきました。(ダウンロード付きの)購読料は、研究員あたりの規模で決定されるので、ここで具体的な金額を出しても意味がないのですが、Natureは冊子体を1冊機関購読するだけで他の雑誌に比べべらぼうに高いのです(Scienceはそれほどでもない)。さらにオンラインでもダウンロードできるように契約するとなるとさらに高くなります。


NatureやScienceに限らず、専門誌の論文も含め、研究機関が購読していない論文の場合、1論文あたり数十ドルで購入(ダウンロード)することが可能です。しかし、一般には論文の執筆者には出版社からPDFが配布されており、これを他の研究者に無料で配ることも認められています。つまり、わざわざお金を払って論文をダウンロードする必要はなく、執筆者に電子メールを送ってPDFを送ってもらえば無料で手に入れることができるというわけです。



 文面はシンプルな英語でも何でも良いでしょう(漢字が混じるとスパムや文字化けのように見られてメールが捨てられる可能性があるので注意しましょう。実際、台湾や中国などから送られてくる漢字っぽいメールはついつい捨ててしまうことが多いです)。


例)

Title: PDF request


Dear Dr. [著者名のラストネーム],


I'm interested in your work. Please send me a reprint of [論文タイトル].


My email address is provided below. A PDF copy of the paper will be very helpful.


[自分の名前]

E-mail: [自分の電子メールアドレス]


実際、PDFを電子メールで請求すると、ご機嫌な調子の返事が翌日に届くことがほとんどです。参考までに、私がこの1年間にPDFを請求した時、送られてくるまでの日数をヒストグラムにしてみました*1



また、著者にわざわざPDFを請求しなくても、まずGoogleなどの検索エンジンで著者名を検索してみて、その著者が自らのウェブサイトを持っている場合、論文のPDFを公開していることがあります。または、直接Google Scholarという論文検索サイトを使って、ほしい論文のタイトルを検索すると、論文によってはPDFを無料でダウンロードできるサイトを見つけてくれることがあります。


これらの方法を使えば、立派な研究機関に勤めていなくても、また研究者でさえなくても、論文を簡単に無料で手に入れることができるというわけです。



 研究者なら誰でも知っていることかもしれませんが、これから研究をはじめようという人、研究者ではないけれど論文の原典を読んでみたい人のために役立てばと思います。

*1:結局PDFが送られて来なかったのが1件ありましたが。

ホットスポットで昆虫採集

 以前にホットスポットという言葉の使用法について紹介したことがあります(ホットスポットとは)。それから原子力発電所の大事故が起こって、日本ではホットスポットといえば放射性物質でひどく汚染された地域を指すことが多くなったように感じます。


 先日、そのホットスポットで昆虫採集を行いました。別にふざわけているわけでもなく、罰ゲームというわけでもなく、調査の手伝いで行った仕事の一つです*1



 とあるホットスポットの林道に真っ白なツナギを着て防塵マスクをした怪しげな集団こそ、調査隊?です。防塵マスクは汚染物質を吸い込まないため、ツナギは特に放射線を遮断する目的ではなく、調査後脱いで容器に入れて、宿に帰った時に汚染されたホコリを持ち込まないためのものです。真夏ですからひたすら暑かったです。



 場所は、本州中部以北によく見られるミズナラやブナの生える落葉広葉樹林です。ツリフネソウの花にはトラマルハナバチが、ヌルデの花にはクマバチ、オオマルハナバチ、ヒメスズメバチアオハナムグリなどが盛んに訪れていました。ミズナラの樹液にはアオカナブンの姿も。林道で悠々と飛翔するオニヤンマを網に入れた瞬間は、夏休みの最後に昆虫採集に来た気分でした。



ただ、調査地における累積線量*2をみると・・・。



 生態系に強い影響があるのか、それとも大した影響はないのか、今後、長期的な視野で研究が行われていくのでしょう。

*1:昆虫以外の動物調査が主目的のようでした

*2:よく時間あたり線量(μSv/hour)が使われますが、これはそれらを累積した値です。

カブトムシと樹液

 子供の頃からずっと昆虫採集を続けてきましたが、今年ほどカブトムシをたくさん採集した年はなかったでしょう。たくさんの個体を必要とする案件があったからですが、今の職場の構内だけでかなりの数を採ったと思います。実家は大阪の住宅街にあって、少年時代はカブトムシとはほとんど縁がありませんでした。今の職場は程よい田舎にあって、しかも構内には堆肥が積んであるので、そこで幼虫が発生しているためか、個体数はとても多いのです。クヌギの樹液は良い採集ポイントですが、腐ったバナナを使って効率的にたくさん採集できました(参考)。



クヌギの樹液で戦うカブトムシの雄たち


 去年くらいから構内で樹液の虫を観察しています。樹液には大きく分けると二種類の原因があるようです。一つはボクトウガの幼虫による食害、そしてもう一つがシロスジカミキリの産卵とそれに続くさまざまな昆虫による食害によるものです。


 ボクトウガの幼虫の行動については「樹液をめぐる昆虫たち」に詳しいのですが、その原典の論文も日本語で書かれていて大変興味深いものです。要約すると、ボクトウガの幼虫は、樹皮下にもぐり形成層を齧ることで、樹液が滲出し、それに集まる昆虫の中で体が柔らかいものについてはボクトウガ幼虫は引きづり込んで食べてしまいます。ガの幼虫の中に、他の昆虫やカタツムリを食べる捕食性のものはしばしば知られていますが、樹木に樹液を出させてそれに誘因された昆虫を食べる、というのは非常にインパクトのある話です。ただし、「樹液をめぐる昆虫たち」では、ボクトウガの幼虫の糞には植物質のものが多く混ざっているので小昆虫だけを食べているわけではないと推定しています。職場構内の樹液で夜間にじっくり観察してみると、割れ目からボクトウガ幼虫が頭を出し、樹液を訪れる昆虫の足が頭をかすめると、強力なアゴで噛み付いているのを何度も目にしました。しかし、たいていは丈夫な甲虫の足が多く、捕食には至りませんでした。個人的には、エサ昆虫を誘き寄せるために樹液を出させるというのは魅力ある仮説ですが、やはり植物質も多く食べているようにも思います。いずれにせよ、我々が親しんできたクヌギの樹液の多くは、ボクトウガの幼虫による齧り行動によって滲出しているというのは大変おもしろい現象だといえます。



樹液の滲出原因となるボクトウガの幼虫


 そしてもう一つの原因であるシロスジカミキリです。これは研究所の構内でも生息していますが、かなり大きなカミキリムシの一種です。ボクトウガが利用している木よりも若い木の幹に特徴的な産卵痕を残すので目立ちます(参考:高桑 2007 PDF:1.6MB)。産卵痕とふ化した幼虫による食害により樹液が滲出するようで、多くの昆虫が訪れ、さらなる樹液の滲出を促します。ただ、ボクトウガの幼虫は6月から秋頃まで連続的に樹液を出させているのに対し、シロスジカミキリによってできた樹液は涸れやすいという印象があります。暑い夏に樹皮がべっとりと濡れるほどに樹液を出すには、ボクトウガ幼虫のような連続的な刺激が必要なのかもしれません。


もちろん、シロスジカミキリによってできた傷にボクトウガ幼虫が住み着いた場合のように、複数の原因によって樹液が出ていることもあるでしょう*1


文献
市川俊英・上田 恭一郎(2009)ボクトウガ幼虫による樹液依存性節足動物の捕食-予備的観察. 香川大学農学部学術報告 62 (115): 39-58.


高桑正敏(2007)雑木林におけるシロスジカミキリと好樹液性昆虫はなぜ衰退したか? 神奈川県立博物館研究報告(自然科学)36:75-90. (PDF:1.6MB


Yoshimoto J, Nishida T (2007) Boring effect of carpenter worms (Lepidoptera: Cossidae) on sap exudation of the oak, Quercus acutissima. Applied Entomology and Zoology 42:403-410.


 やっぱり夏は樹液の昆虫を観察するだけで何かこうワクワクするものがこみ上げてきます。


樹液をめぐる昆虫たち

 漢字にルビがうたれた子供向けの本ですが、最新の知見も取り入れられていて楽しく読めます。自身の幼少時代なら間違いなく図書館で何度も借り出して読んだに違いありません。


カブトムシとクワガタの最新科学

カブトムシやクワガタの雄同士の闘争行動を観察してきた研究者が、進化生態学的な観点から解説されています。こんな大型昆虫を研究テーマにできることこそ平和な世の中を象徴しているかもしれません。


樹液に集まる昆虫ハンドブック

 樹液の昆虫群集を観察するには書かせないハンドブックです。職場構内の樹液では、大型昆虫としてカブトムシの他に、ノコギリクワガタコクワガタ、カナブン、クロカナブンシロテンハナムグリオオスズメバチゴマダラチョウヤマトゴキブリなどが多く見られます。中でも実家周辺では見たことがなかったクロカナブンの多さには驚きました。

*1:人為的な傷でも樹液が出ることはあるようですが、滲出し続けるには何らかの連続的な刺激が必要とされるでしょう。

奥日光のシデムシ

 先日、梅雨の晴れ間を狙って奥日光まで行ってきました。



 今回の目的は、山地性のシデムシ*1を採集することです。曇ったり、晴れたり、雨が降ったりの天気にも関わらず、目的のホソヒラタシデムシとカバイロヒラタシデムシを無事採集することができました。実は、この2種類比較的採集しやすいと聞くのに、初採集なのです。自身これで日本産22種目の採集で、残るは4種ほどとなりました。



ホソヒラタシデムシ(後翅が退化し飛べず、本州と佐渡島のみに分布する日本固有種)



カバイロヒラタシデムシ(飛翔能力の高い小型のヒラタシデムシ)


 個人的な記録はともかくとして、他にもクロシデムシ、ヒメクロシデムシ、マエモンシデムシ、ヨツボシモンシデムシ、ヒメモンシデムシ、ヒロオビモンシデムシとモンシデムシ類だけで6種類、ヒラタシデムシ類では他にクロボシヒラタシデムシを加えて3種類が採集できました*2。実に9種類も同所的に生息しているとは驚きです。モンシデムシ類の多さから、エサとなる小型の哺乳類(ネズミやトガリネズミ)の豊富さが想像できます。



ヒロオビモンシデムシ(海外にも広く分布するが本州では山地に分布)



ヒメモンシデムシ(日本産モンシデムシ類の中で最小型の種でかつ日本固有種、触覚の先端1節だけがオレンジ色)



ヒメクロシデムシ(クロシデムシに似るが小型で後脛節がまっすぐ)


 ここ最近の研究によって、日本産ヒラタシデムシの生態や進化、生物地理についてもずいぶん見通しがよくなってきました。翅が退化して全く飛べないホソヒラタシデムシは、本州と佐渡島にしか見られない日本固有種です。これまで近畿地方の高地からはヤマトヒラタシデムシやオオダイヒラタシデムシというように別種が記録されていましたが、これらも最近の分子系統解析などをもとにホソヒラタシデムシに統合されました。ホソヒラタシデムシは本州でも比較的高い標高の場所に隔離して分布しているので、それぞれが遺伝的に孤立した個体群を形成しているようです(近畿の個体群を別種にするなら山塊ごとに種を設けないといけない)。北海道のヒラタシデムシとは近縁ですが、ヒラタシデムシが大陸から北ルートを通って北海道にやってきたのに対し、ホソヒラタシデムシは南西ルートから本州にやってきたようです。ヒラタシデムシとホソヒラタシデムシともに脊椎動物の遺体にも集まりますが、普段はミミズなど無脊椎動物の遺体を食べていることが安定同位体の分析でもわかってきました。このように、ヒラタシデムシ類では、エサを比較的豊富な無脊椎動物の遺体にシフトすることによって、飛ぶことをやめ、個体群間の遺伝的隔離が増し、種分化がおこりやすくなっているようです(参考:飛翔能力の退化が甲虫類の多様化を促進する)。


 ファーブル以来、欧米でも子育てをするモンシデムシ類ばかりが注目されてきましたが、ヒラタシデムシ類ももっと注目しても良い興味深いグループだと思います(海外にはなんと植食性のヒラタシデムシまでいる!)。


文献


Ikeda H et al. (2009) Different phylogeographic patterns in two Japanese Silpha species (Coleoptera: Silphidae) affected by climatic gradients and topography. Biological Journal of the Linnean Society 98:452-467.


Nishikawa M et al. (2010) Taxonomic redefinition and natural history of the endemic silphid beetle Silpha longicornis (Coleoptera: Silphidae) of Japan, with an analysis of its geographic variation. Zootaxa 2648:1-31.


Ikeda H et al. (2012) Loss of flight promotes beetle diversification. Nature Communications 3:648.

*1:動物の遺体を食べ土にかえす自然界のお掃除屋さん。大きく、モンシデムシ類とヒラタシデムシ類に分けられ、前者は遺体を土中に埋めて産卵しふ化した幼虫の育児を行うのに対し、後者は土中に産卵し幼虫の世話は行わない。

*2:他の甲虫では、ホソクロナガオサムシ(コクロナガオサムシ)やアルマンオサムシ(ホソヒメクロオサムシ)などを採集でき、本州高地ならではの採集を楽しめました。

論文質をとられる

 論文を投稿していてしばしばあることなのですが、投稿先の雑誌から他人の論文の査読を頼まれます。もちろん、論文を投稿するからには、自分の論文に少なくとも3人(担当編集者と査読者)が関わるわけですから、自らがその役割を求められたら従うのは当然でしょう(参考:査読という仕事論文の再査読)。よっぽど分野が違えば査読を断ることもありますが、この場合は担当編集者は自分の投稿論文から専門分野をよく知っているので、そういう分野の違いもあり得ません。


そういうわけで好き嫌いにかかわらず論文を査読することになるわけです。しかしこれまでの経験上、あまり良い思い出がありません。


これまでで最も悲しかったのは、査読を終えてレポートを編集部に送ったところ、しばらくして自分の方の論文は却下されたことでしょう。自分の論文だけでなく査読レポートも良くなかったのかな、などと結構複雑な思いでした。


次に悲しかったのは、はりきって査読を終えて自らの論文の結果を待つも、なかなか返事がなく、先に査読をした論文はさっさと受理されて出版されたのを知った時でした。


そして最近のお話です。投稿している雑誌から査読があったと同時に自らの論文の査読結果も受け取りました。割と好意的なコメントで改訂すれば受理されそうな内容でした。もちろん査読の方も引き受け、とりあえずはすぐに対応できそうな自らの論文を改訂しさっさと再投稿しました(参考:なぜすぐに論文を再投稿できないのか)。査読の方も少しずつ進めそろそろ提出しようかと思っていた時でした。再投稿した原稿の結果が送られてきました。わずかな修正でしたし、受理されたのかなと期待しつつメールを読むと、さらなる改訂を要求するものでした。まだ足りないかあ、と思いつつコメントを確認しようとメールをスクロールするも、コメントがなぜか空欄・・・。コメントがないのですぐに送るよう編集部にメールを送るも担当編集者から1週間返事がなし。これでは査読レポートも送りにくいなあと思い、さらに担当編集者に直接メールを送っても音沙汰なし。再び1週間経って編集部に催促のメールを送るも、担当編集者と連絡がとれないとのこと・・・。これは、自分の査読レポートを送らないと自らの論文の返事ももらえないということなのでしょうか? 


人や言や物が質にとられることはあっても、論文原稿もとられてしまうとは思ってもみませんでした。


それにしても、その雑誌に投稿しているのに他の論文の査読をする場合、中立であろうとするのは当然ですが、なんらかの自分の論文への不利益も生じるのではないかという思いが生じることもあります。これは利益相反行為を促してしまうような気もします。


 そろそろ査読レポートを編集部に送ります。

サギを観察

 連休中、わずかな晴れ間を狙って鳥を見に行きました。


 実は、鳥が好きでして、小学生の頃は日本野鳥の会の探鳥会というのにも参加したことがあります*1

 
 人混みと車を避けて比較的近くの河原で観察しました。ちょうど時節柄(繁殖期)サギの飾り羽や冠毛が美しい。



チュウサギ



ダイサギ



アマサギ



ゴイサギ


しかし、最近自身が恐竜ブームなので、鳥をみてもすべて小型(羽毛)恐竜に見えてきます。いや、鳥も間違いなく恐竜の仲間ですから、恐竜ウォッチングといえるかもしれません。


 移動して、住宅地の中にある小さな林の樹冠で営巣するアオサギを観察。実はこの場所、よく行くスーパーの裏にあるのですが、臭いがきついので養豚場でもあるのかと思っていたら、アオサギの集団営巣(コロニー)が原因だと最近知りました。これだけの騒音(鳴き声)と異臭があると近くに住んでいる人も大変でしょう。今、巷を賑わせている佐渡のトキとは違って、人を気にせず営巣できるたくましさがあります。



営巣中のアオサギ


 中学生まで生まれ育った家の近所の河原では普段はコサギくらいしか観察できず、アオサギがはじめて飛来した時は、ツルかコウノトリかと思ってその大きさに驚いたものです。


 小学生の頃に買った図鑑2冊を久しぶりに開いて、サギの形態や生態について改めて復習しました。



上が「日本の野鳥 (山渓カラー名鑑)」で下が「フィールドガイド日本の野鳥


ちなみに植物や野鳥の図鑑は、絵主体と写真主体のそれぞれの図鑑をそろえるようにしています。絵は、全体図や体色、夏羽、冬羽、雌雄の差などがわかるのが良いし、写真は絵にはないリアリティがあります。写真ではわからなくても絵でわかった場合、そしてその逆の場合もあったりするのでいずれも重宝しています。両方とも絶版になっていますが、さすが人気の野鳥のこと、携帯版や後続の図鑑が出ています。久しぶりに野鳥を見ていると、新たな図鑑も欲しくなりますが、昆虫などと違ってどれほど新たな情報が付け加えられているのかと考えると・・・悩ましい。


 

*1:鳥を観察するのはともかくとして、虫を採ることを制限される探鳥会にはすぐに興味をなくしましたが・・・。

なぜすぐに論文を再投稿できないのか

 せっかくの良い季節なのに、天気がこうも悪いと本当にもったいないなあと感じる日々です。


 さて、最初に投稿してから長く時間がかかっている論文があります。その改訂を行いようやく再投稿しました。論文の改訂や再投稿について、いろいろ反省することが最近多いので、恥をしのんで書き留めておきます。


 一生懸命とったデータをまとめて論文を専門誌の編集部に投稿しても、そのまま出版されることはほとんどありません。多くは編集者と匿名の審査委員(査読者)によって掲載の可否を判定されます(参考:査読という仕事論文の再査読)。運良く出版の価値ありと認められても、多くの場合、出版前に原稿の改訂を要求されます(電子メールでコメントが送られてきます)。


改訂は、編集者と査読者の指摘に従って行われるのですが、わずかな修正(たとえばミススペルとか)で済む場合(小改訂 minor revision)と、根本的に論文を書き直す必要があったり、解析をやり直さなくてならない場合(大改訂 major revision)とがあります*1


小改訂の場合、あと少しが見えているので、コメントを読んで一気に改訂して再投稿できてしまう場合がほとんどでしょう。やっかいなのが大改訂の場合です。コメントが送られてきた当日から改訂をはじめ、淡々とすすめ、数日のうちに再投稿するのが理想ですが、これを苦もなくできる人ってどれくらいいるのでしょうか? 実は私自身、研究にまつわるさまざまな過程において、この大改訂が最も嫌いな作業です・・・。確かに、優秀な査読者による批評に従って改訂すると、論文として優れたものになることは間違いありません。しかし、査読者と自分自身の感性がピッタリとあうことはめったにないわけで、それこそ本当につらい作業だと感じます(参考:査読コメントが辛いわけ)。


というわけで、この改訂を行う期間は通常、1〜3ヶ月くらいの猶予をもらうのですが、いつも再投稿は〆切ギリギリになってしまいます。今回も本当にぎりぎりでしたし、前々回は数ヶ月もオーバーしてしまいました(事前に編集部に問い合わせて〆切を延ばしてもらうことも可能)。このままでは成長しないので、反省しているうちに問題点を整理して、今後の対策を練りたいと思います。


なぜすぐに論文の改訂をして再投稿できないのでしょうか?


・査読者のコメントを読むのがつらい(自分の仮説、発見について論理的に批判されるのが身をえぐられるように堪える)
・〆切までには時間があるし、いざとなったら〆切を延ばしてもらえば良いと思ってしまう
・再解析をやるのが面倒くさい
・今やっている仕事があるので、すぐには取りかかれない
・見飽きた原稿を読むのが楽しくない


 というように、なんらかの理由をつけて改訂を先送りにして逃げてしまうのです(あくまで私自身の場合です)。


 私自身の改訂は以下の通りに行っていますが、特にどの過程で行き詰まっているのでしょうか?


(1)査読コメントを読む
(2)査読コメントを項目順に並べた文書ファイル(Rレター)を作る
(3)査読コメントについてすぐに直せるところから直し、Rレターの項目ごとにコメントに対する対応を書き込む(どのように改訂したか、など)
(4)1〜3を繰り返す
(5)どうしてもうまく直せない、コメントに従えない項目について、Rレターにその理由を論理的に書く
(6)改訂原稿とRレターを通して読んで整合性をチェックする
(7)改訂原稿とRレターを英文校閲に送る(直す箇所が少ない場合は校閲には送らない)
(8)校閲結果を取り入れ、全体を読み直してチェックし、再投稿する


 私自身の場合、(1)にとりかかるのが遅いように思います。とりあえずリジェクト(掲載拒否)されていないことを確かめたら、もらった改訂案などが書いてあるコメントをちゃんと読まずにしばらく寝かせてしまうのです。次なる難関は(5)です。再解析をすべきか、データを追加すべきか、いややっぱり従わない理由をなんとか考えて乗り切ろうか、などと悩んでしまうのです。すぐに結論が出ない場合が多く、しばらく考えてからにしようと、改訂原稿から離れてしまうことが多々あります。


ここを乗り切るには、なんらかの暗示が必要と考え、過去の自身の論文投稿履歴を調べて、ある種の光明を見いだしました。


・原稿の改訂を要求された場合、コメントに従って修正し再投稿すれば96.3%は最終的にその雑誌に掲載されてきた*2


 これは投稿した論文が高い割合で受理されてきたことを示しているわけではありません。投稿した論文が掲載拒否される確率はかなり郄いのですが、ここでは、一発掲載拒否は免れた場合、改訂要求に従い普通に再投稿すれば、ほとんどが受理されてきたということです。しかし、改訂して再投稿しても逆転で掲載不可の判定が下ったことがあります。この場合、改訂や再改訂が長引いたため、途中で編集者や査読者が変更になったことが原因の一つでした。つまり、ダメだったことをあまり考えず、さっさと直して原稿を送った方が良いということです*3


ただし、


・一応は掲載不可とするが、問題点を改訂した原稿を改めて投稿することが認められる(薦められる)場合は、再投稿しても60%しか掲載されなかった*4


というパターンも明らかになりました・・・。これは、改訂項目が多すぎて改訂に時間がかかりすぎる場合や、追加実験やデータを要求する場合、また投稿から判定までの期間を短くしたいという雑誌側の事情から最近増えてきたパターンです(研究業界では一旦リジェクトとも呼ばれる)。つまり、再投稿しても改めて掲載を断られる可能性があるので、ますます改訂するのが億劫です。ただ、基本的には大改訂と作業はかわらないので、ともかく精神的に強くもってなんとか乗り越えるしかないということでしょう。


 同じように論文改訂に悩んでいる人の少しでも助けになれば幸いです。

*1:一見コメントが多いようにみえても、英語のスペルミスなど、単純な修正コメントが多い場合もあり、逆に、一見短いコメントなのに、論文の根本を揺るがすコメントがある場合もあります・・・。

*2:海外の査読付き学術雑誌で、招待論文・総説をのぞいた場合、26/27*100=96.3%

*3:もちろん、小改訂ですぐに直して再投稿した論文が再査読にまわってなかなか返ってこない場合もあって、これこれでもう少しちゃんと検討してから再投稿すれば良かったと後悔することもあります。迅速にかつ正確な改訂を心がけたいものです。

*4:海外の査読付き学術雑誌において、3/5*100=60%

大学院修了後の歩む道

 わたくしごとですが、大学院を修了後、ポスドク(国内の大学研究室)を経て、独立行政法人(独法)の研究所に入所し、研究留学(海外の大学研究室滞在)をはさんで、現在も独法研究所で勤務しています。独法研究所というのは、たぶん、一般の人からだけでなく、他機関に勤める研究者にとっても、どういう仕事をしているのかちょっと想像しにくい世界かもしれません。


大学の先生だと、学生の頃に直接観察する機会があり、実情はともかくだいたいの仕事が想像できるでしょう。一方、その他の研究研究機関ではどういう仕事をしているのかはさっぱり見えてきません。学会などでお会いする人に伺ってみるのですが、「いろいろ忙しい」などと面倒がって話してくれないこともしばしばです。かといって、逆にどんな仕事をしているのかと聞かれると、こちらも困ってしまいます。


 私の場合ですと、野外や室内で昆虫などの生態データをとり、パソコンに入力したデータを解析し、英語や日本語で論文を書くのを主な業務としています*1。他には、自分の業務・出勤報告のための記録を付けたり、研究費申請のための書類を書いたり(人の書類をチェックする場合もあります)、研究所への問い合わせ等に答えるための文章を作ったり、学会等発表の準備をしたり、学会事務、論文査読などがあります。このような細かい仕事をゆっくりこなしていると業務時間はあっという間に過ぎてしまいます。また、研究費をたくさんもらっている人の場合は、研究に使う物品の発注書やポスドク・研究助手といった雇用関係書類の作成、出張のための準備(出張計画書、宿の予約)など、かなり忙しくなるでしょう。また、全国に支所がある研究所では、転勤がある場合もあります。時に、研究所運営や広報などの事務職への配置転換もあって、この場合は研究業務からは離れざるを得ません。どの職場でもそうですが、役職によって会議の数も違いますし、個人差は大きいものです。


行政機関(省庁)との関係が深い独法の研究所では、純粋な基礎研究というよりも、なんらかの形で応用的な研究をすることが求められていることが多いと思います。このあたりは、自由なテーマ・材料を扱える大学の研究室とは異なるかもしれませんが、やりようによっては、応用的なテーマ、材料を扱いながらも、基礎的な研究テーマを追求することも可能です。


 さて、実はあまり知られていませんが、大学院を修了してから、大学や研究所とは異なる道も結構あります。もちろん、研究とは全く関係ない職種に進む人もいますが、身につけてきた知識を生かした就職先の一つとして、NGO(非政府組織)があります。今年の1月に、NGOの保全団体で活躍されている方々の講演を聞く機会がありました。生態学関係の研究室で学位を取得された後、どのような職場を経て現在の仕事にたどりついたのか、そして実際どういう仕事をされているのかを、具体的な事例をあげて紹介してくださり、すごく新鮮な刺激を受けました(講演の要旨を読むことができます:1.3MB)。


 大学院を修了しても、さまざまな就職先があることを学生のうちから知っておくことは大事だと思います。

*1:個々の研究は、外部資金にせよ研究所の交付金にせよ、なんらかのプロジェクトの一つに位置づける必要があります

ジュラシック・パーク

 さて、恐竜図鑑の次は、動く恐竜も見てみたい。ということで、かの『ジュラシック・パーク』を改めて観てみました。続編の『ロストワールド/ジュラシック・パーク』および『ジュラシック/パークIII』も含めて、DVDはすごく安いしお手頃でした。



ジュラシック・パーク [DVD]

 改めて観ると、あまりに無理のある設定でビックリです。琥珀化石に閉じ込められた恐竜の血を吸っていた蚊から恐竜のDNAを取り出し、足りないゲノムは両生類から補填して復元したらしい・・・(あくまでフィクションです)。とはいえ、T.レックス(ティラノサウルス)、トリケラトプスブラキオサウルスなど、おなじみの恐竜が活き活きと動いています。主人公の古生物学者グラント博士が、子供の頃好きだった恐竜としてトリケラトプスに出会えた感動を語っていましたが、私自身も最も好きな恐竜だったことを思い出しました。



ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク [DVD]

 ジュラシックパークの続編。パート1では脇役だった数学者マルコム博士が主人公。やはり恐竜の主人公はT.レックス。最後は、サンディエゴまで連れてきて大暴れしていました・・・。子育てしていたT.レックス以外にも、ステゴサウルス、パキケファロサウルス、パラサウロロフスなど多様な恐竜が登場しその生態の一端も垣間見られます。マルコム博士以外の登場人物の思考がほとんど理解できませんでした(異様な動物愛護?)。特に、マルコムは火星の恋人の古生物学者は、前作のグラント博士とは全く異なる無知っぷり、一貫性のなさ・・・。あと、人がT.レックスに食べられすぎです。



ジュラシック・パークIII [DVD]

 ジュラシックパークの三作目。再びグラント博士が主人公。しかし、恐竜の方は、T.レックスがスピノサウルスに倒され主人公交代。そして注目すべきは、翼竜ことプテラノドンが登場したこと。現代の世の中で翼竜が飛べたのかどうか、その飛び方についてもいろいろ妄想できました。



Jurassic Park 3 (3/10) Movie CLIP - Spinosaurus vs. T-Rex (2001) HD
ピノサウルス vs. T.レックス


 ジュラシックパークは、一部の科学的知見と大いなるフィクションの微妙な混合で、恐竜についていろいろ誤解を生じさせる作品かもしれません。とはいえ、CG自体はリアルだし、たんなるエンターテイメントのフィクションと捉えて恐竜好きにも楽しめる作品だと感じました。

恐竜図鑑

 『決着! 恐竜絶滅論争』を読んだのをきっかけに、 白亜紀末の大量絶滅に興味をもったので、『絶滅のクレーター―T・レックス最後の日』や『ネメシス騒動―恐竜絶滅をめぐる物語と科学のあり方』、『恐竜はネメシスを見たか』と続けて読んできました(参考:恐竜絶滅と周期的大量絶滅)。いずれも科学読み物として大変おもしろかったのですが、少し違和感も感じました。つまり、いずれもタイトルに「恐竜」が入っているのに、どの本にも恐竜の名前や生態についてはつっこんだ解説がほとんどなかったことです。たぶん、「白亜紀末の大量絶滅」とするよりも、「恐竜の絶滅」と書いた方が一般的にはわかりやすいし、興味がもたれるのでしょう。商品として本を売るわけですから、それなりの戦略は大切です。しかし、恐竜というワードに反応する人たちにとっては裏切られた感は否めません。


私自身も幼少の頃は、恐竜が大好きで、絵本に描かれた図をみて妄想たくましくしておりました。「恐竜絶滅本」に急に刺激され、最近の恐竜図鑑を見たくなりました。いつものように、アマゾンで検索し、いくつか候補を見つけたものの、図鑑は実際中身をみてみないと当たり外れが多いもの。特に、恐竜は現存しないので、イラストかCGで復元された図なので、その好き嫌いもあるでしょう。


ということで、さっそく書店に行って、図鑑を見比べてみることにしました。ところが、です。子供向けの図鑑の場合、子供が手にとって読むことが多いためか、多くの図鑑がビニールで包んであって中身を見られないようになっているのです。一部、見本用にあるのですが、代表的な図鑑のみでした。すべての図鑑を見比べるには、店員さんにビニールをはがしてもらうしかありません。はがしてもらった以上は少なくても1冊は買わないと、というプレッシャーもあります。とはいえ、子供へのプレゼントという暗黙の言い訳によって、ここは堂々とビニールをはがしてもらって見比べたのでした。


そこで買ったのが以下の図鑑です。



恐竜 (講談社の動く図鑑MOVE)


 化石の写真と復元イラスト、そして恐竜の種類がほどよいバランスで配置されているので選びました。また、監修をつとめている研究者の存在も大事でしょう*1。そして、最も大事なことは、出版年が新しかったことです(初版が2011年7月)。恐竜は、毎年のように新たな化石が見つかるため、最新の知見が盛り込まれている方が、復元図などにいかされているからです。例えば、コラム風に最新の知見もほどよく解説されており、1990年代から見つかるようになった羽毛恐竜についてはもちろん、色素の研究から羽毛の色がわかるようになった話や、恐竜の推定歩行速度なども盛り込まれています。そして、もう一点、値段の割に嬉しいことがあります。昔の図鑑にはなかった、DVDがついていることです。CGを駆使して、恐竜の進化史に沿いながら肉食恐竜であるティラノサウルスなどの動画がハイテンションなナレーションで解説されています。もちろん子供向けです。


ただし、惜しむらくは、アマゾンの書評にも出ていましたが、本の作りがイマイチなこと。子供でなくても、何度か本を開閉しているだけで、ページがバラバラになりそうです。


 恐竜は先に書いたように、さまざまな証拠から復元図をつくるため、研究者によっては異なることがしばしばあります。つまり、復元図によって見る者が抱くイメージが大きく異なってきます。そういった偏見を避けるためにも、別の図鑑も見ておきたい。


 職場で恐竜の話をしていると、結構詳しい人がいるもので、下記の本を薦めてもらいました。



よみがえる恐竜・大百科 超ビジュアルCG版


 こちらは、大人向けです。復元図はCGで作られ、文章は多めで、一般向けに知られている内容から、最新の知見まで、掲載種数を絞って、グループごとにじっくり解説されています。著者は海外の研究者によるもので、最新の知見をどん欲に取り込んで居る感じです。恐竜や鳥類、他の爬虫類との系統関係や、その解釈の歴史も詳しく紹介されています*2。何より興味深いのは、羽毛恐竜の発見を取り入れて、さまざまな恐竜にも羽毛を生やしているところです。T.レックスこと、ティラノサウルスは、祖先種と考えられるものに羽毛が見つかっていることから、子供には羽毛が生えていたと推定されているようです。しかし、この図鑑には、親にも一部羽毛が残っていたと考え、シャンプーハットみたいに羽毛を生やしているのが個人的におもしろかったです(表紙の真ん中)。


ただし、大人向けにも関わらず、大判で、見開きに一枚のCGを使ったり、やたら紙面を無駄にしている感も否めません。日本人の住宅事情を考えて、訳本では軽い本にしてほしかったです。


 もう一冊くらい種数が豊富な図鑑がほしいと重い、海外の図鑑も入手してみました。



The Complete Book of Dinosaurs


しかし、絵はちょっと古いタイプで、あまり好みにあいませんでした(書店で中身を見られなかったので仕方がない・・・)。ただし、本サイズは小さく軽く、値段の割に種類数は比較的豊富で、名前を調べるには役立ちそうです。例えば、恐竜の名前で、ティラノサウルスとかステゴサウルス、ブラキオサウルスというのは、すべて学名の属名にあたります。種が記載されるときには、属名だけでなく種小名も必要ですが、恐竜で種小名まで呼ばれるのは、ティラノサウルス・レックス(Tyrannosaurus rex)くらいです(T. rex:ティー・レックスとよく呼ばれる)。この図鑑では、属を代表する種名が掲載されています。


 これら3冊の図鑑を見比べてみると、印象に最も影響を与えるのはやはり体色でしょう。2000年にネイチャー誌にて発表された4枚の翼をもつミクロラプトルについては、『恐竜 (講談社の動く図鑑MOVE)』では主に水色、『よみがえる恐竜・大百科 超ビジュアルCG版』では主に白色、『The Complete Book of Dinosaurs』では主に緑色に描かれています。つい先日サイエンスに発表されたばかりの論文によれば、玉虫色に輝く黒色の羽を持っていた可能性が指摘されています。このように、色彩だけみても、イメージはずいぶん異なってくるわけです。


 一方、これらの恐竜図鑑で残念なこともあります。これらの図鑑では、翼竜、首長竜、魚竜についての扱いが乏しいのです。これらは恐竜とは異なる系統群の絶滅大型爬虫類ですが、広い意味では恐竜と呼ばれることも多く、これらを期待している人も多いはずです。


参考文献

Xu X et al. (2000) Four-winged dinosaurs from China. Nature 421:335-340.


Li Q et al. (2012) Reconstruction of Microraptor and the Evolution of Iridescent Plumage. Science 335:1215-1219.


ナショナルジオグラフィック ニュース
玉虫色の輝き、ミクロラプトルの羽毛

*1:恐竜など古生物についてはまだまだ謎が多く、しっかりした研究者が監修を行っていないと、根拠の乏しいトンデモな話ばかりになってしまうので。

*2:現在では、鳥類は間違いなく恐竜の仲間であることは認められ、恐竜もまた少なくとも一部の種類では恒温動物であったそうです。