メールで論文請求

 職場で図書委員というのをやっています。確か中学1年生の時以来です。中学生の頃の図書委員会では廃棄する本を決めたりしたことを覚えていますが、今は研究所で購読する学術雑誌を決めたりすることが主な仕事です。


今の職場ではNatureやScienceの冊子は購読しているものの、インターネットで自由に論文のPDFをダウンロードすることはできません(電子購読の契約はしていない)。少しでも科学にかかわっている研究所なのに、そんな時代遅れのことで良いのだろうかと思ってきました。しかし、こういう委員会に出席してはじめて購読料なるものを教えてもらうと、小さな規模の研究所では(研究費が限られているので)ダウンロードの契約ができないのも仕方がないのかなと思えてきました。(ダウンロード付きの)購読料は、研究員あたりの規模で決定されるので、ここで具体的な金額を出しても意味がないのですが、Natureは冊子体を1冊機関購読するだけで他の雑誌に比べべらぼうに高いのです(Scienceはそれほどでもない)。さらにオンラインでもダウンロードできるように契約するとなるとさらに高くなります。


NatureやScienceに限らず、専門誌の論文も含め、研究機関が購読していない論文の場合、1論文あたり数十ドルで購入(ダウンロード)することが可能です。しかし、一般には論文の執筆者には出版社からPDFが配布されており、これを他の研究者に無料で配ることも認められています。つまり、わざわざお金を払って論文をダウンロードする必要はなく、執筆者に電子メールを送ってPDFを送ってもらえば無料で手に入れることができるというわけです。



 文面はシンプルな英語でも何でも良いでしょう(漢字が混じるとスパムや文字化けのように見られてメールが捨てられる可能性があるので注意しましょう。実際、台湾や中国などから送られてくる漢字っぽいメールはついつい捨ててしまうことが多いです)。


例)

Title: PDF request


Dear Dr. [著者名のラストネーム],


I'm interested in your work. Please send me a reprint of [論文タイトル].


My email address is provided below. A PDF copy of the paper will be very helpful.


[自分の名前]

E-mail: [自分の電子メールアドレス]


実際、PDFを電子メールで請求すると、ご機嫌な調子の返事が翌日に届くことがほとんどです。参考までに、私がこの1年間にPDFを請求した時、送られてくるまでの日数をヒストグラムにしてみました*1



また、著者にわざわざPDFを請求しなくても、まずGoogleなどの検索エンジンで著者名を検索してみて、その著者が自らのウェブサイトを持っている場合、論文のPDFを公開していることがあります。または、直接Google Scholarという論文検索サイトを使って、ほしい論文のタイトルを検索すると、論文によってはPDFを無料でダウンロードできるサイトを見つけてくれることがあります。


これらの方法を使えば、立派な研究機関に勤めていなくても、また研究者でさえなくても、論文を簡単に無料で手に入れることができるというわけです。



 研究者なら誰でも知っていることかもしれませんが、これから研究をはじめようという人、研究者ではないけれど論文の原典を読んでみたい人のために役立てばと思います。

*1:結局PDFが送られて来なかったのが1件ありましたが。