論文のカラー図作成

 論文の中で、研究に使った試料や動植物をカラー写真を使って示したい時がしばしばあります。また、複雑な図をわかりやすくするために凡例や線を色分けしたい場合もあるでしょう。つい数年前まではカラーチャージを気にして、なかなか思い切ってカラーにできないものでした。カラーチャージというのは、図をカラーにするとかかる印刷価格で、ページチャージ(ページ単位、もしくは◯ページ以上超過する時にかかる価格)や別刷代*1とは別料金になります。


だいたい2,3ページにカラー図を配置すると数万円から十数万円はかかったものです。もちろん、現在でもカラー印刷するとそれくらいかかるようですが、最近の研究界は別刷りの代わりにもっぱらPDFをやりとりする時代です。そもそも冊子体をもたないオンラインジャーナルさえも増えてきました(もちろんカラーチャージはかかりません)。つまり、思う存分カラー図を使える時代が到来したということです。大手出版社(Elsevier、Wiley、Springer)でも、冊子での印刷は白黒(グレースケール)にするけれど、PDFだけはチャージなし(無料で)でカラーにすることも可能です。雑誌の投稿規定にはカラーにすると1ページ(または図)単位〇〇ドルかかると書いてあっても、PDF版のカラーは無料だったりすることが多いのです。


 さて、カラー使い放題とはいっても、冊子体では白黒になってしまいますし、PDFを(白黒)印刷して読まざるをえない人もまだ多いでしょうから、多少カラー図にも工夫がほしいところです。色分けした場合でも、グレースケール(白黒)で印刷された時にも区別できるような記号分けや線(点線など)分けするのも手段の一つでしょう。カラー写真についても、Photoshop等でグレースケールでチェックして図がつぶれないように明暗を調整しておきたいところです。



最近書いた論文の図(3色に分けるとともに、重複する線は種類も変えてみました;Sugiura et al. 2013より)

*1:別刷りとは、印刷された雑誌の中から個別の論文だけを抜き出して冊子にしたもの。抜刷りとも言う。