今日は久しぶりのセミナーがあったので参加しました。ニュージーランドのセミの分子系統に関する発表でした。
ハワイ諸島やガラパゴス諸島といった隔離された海洋島には、もともとセミが分布していないことはよく知られています。しかし、ニューカレドニアやニュージーランドといった島では固有のセミが分布しており、一部では多数の種へと放散しています。
ニュージーランドには5属42種(すべて固有種)のセミが分布しているようですが、それらはすべて1族(Cicadettini)に含まれます。この族は南米と南極大陸をのぞいて広く分布しており、日本にもチッチゼミが分布しています。
分子系統解析の結果、近縁のグループはオーストラリア大陸とニューカレドニアに分布しているようで、この1400万年の間に2度にわたってニュージーランドにやってきて、一つのグループでは多くの固有種に分化しました。中でも、Kikihaという属は約30種にも放散しています。
以下に立派なウェブサイトがあって、同定の仕方、文献、オンライン図鑑まで整備されています。日本のチッチゼミ同様、いずれも小型種ばかりです(体長2-3cm)。これだけの種数と色彩、鳴き声などのバリエーションがあれば、興味をもたない昆虫学者はいないでしょう。
ニュージーランドのセミ(New Zealand Cicadas: A virtual identification guide)