投稿論文についていろいろ悩んでいる私に、Yさんが興味深い論文を紹介してくださいました。
どういう査読者が投稿論文にリジェクト(掲載不可)の判断を下すのでしょうか。
生態学、進化学の分野の研究者に主に以下の質問を含むアンケート調査を行った(実際には下記の3つ以外にも14の質問あり)。
質問1) 過去にインパクトファクターの高い雑誌(ISIの2004年版 Impact factor に基づく:Nature、Science、Current Biology、PNAS、Ecological Monographs, American Naturalist、Ecology、Ecology Letters、Evolution、PLoS Biology)に掲載されたことのあるか?その回数は?
質問2)あなたが査読した論文のうちリジェクトした割合は(<25%、25-50%、51-75%、>75%)?
質問3)最初に査読付き論文を出版した年は?(研究歴)
1000人以上の研究者からの回答をもとに解析した結果、以下のことが明らかになった。
結果1)過去に上記のインパクトファクターの高い10誌(つまり掲載が難しい雑誌)に出版経験がある研究者ほど、掲載のない研究者よりも、査読論文をリジェクトする割合が高い傾向があった。
結果2)上記10誌における論文数の多い研究者ほど、リジェクトする割合も高かった。
結果3)研究歴とリジェクトする割合には相関関係はなかった。
結果4)リジェクトする割合は、1年間に査読する論文数が多い研究者ほど高かかったが、上記10誌に出版経験のある研究者とない研究者との間に違いはなかった。
これらの結果にもとづけば、論文を投稿する時に、インパクトファクターの高い雑誌に精力的に出版している研究者を査読者としての候補に含めなくなるかもしれない・・・。
つっこみどころがありそうな解析と結果ですが、いろいろ考えさせられました。
インパクトファクターの高い雑誌に掲載する経験を繰り返していると、常に厳しい査読コメントにさらされているため、論文掲載の評価基準が増し、査読する雑誌のレベルにも関わらずついつい厳しくなっていってしまうのでしょうか。