外来種は種多様性を高めていますか?

ありがちな質問として、


外来種は種多様性を高めているんじゃないでしょうか?」


というのがあります。実際、以前に紹介したように島嶼部では外来植物の増加によって本来の種数の二倍にもなっています(参考:島で植物の種数は二倍になる 12)。


種多様性には、ある場所(生息環境)の種数を対象としたアルファ多様性(α-diversity)というのと、場所間での種多様性の違いに着目したベータ多様性(β-diversity)というのがあります。場所間での種組成の類似性が高ければ(種が重複していれば)ベータ多様性は低いことを示します。


多くの外来種がさまざまな場所に定着すると、場所ごとの種数は増加しますが、場所間での種組成は類似したものになってきます。


つまり、外来種の増加はアルファ多様性を増加させますが、ベータ多様性は低下させています。


また、外来種によって在来種が絶滅することがあれば、グローバルな種多様性は減少するということになります。


 単に種数が多ければ良いという考えよりも、場所間、地域間での種組成の違いや固有性に注目した方が、多様性保全を考える時にはしっくりくると思います。


 ただ、在来種数と外来種数との関係は空間スケールによって異なるので、これは次回にでも整理しておきたいと思います。