外来植物の植栽から逸出するまで

 外国産の樹木を公園や植物園などに植栽することは古くから世界各国で行われていることです。しかし、一部の種がそういった人工的な環境から逸出し、野外に定着します(参考:種苗会社と外来植物)。特に、熱帯の海洋島では、その逸出が頻繁に起こり、一部の種は侵略的になり天然林にまで侵入し在来生態系に強い影響を与えるようになります。


 では、植栽してからどれくらいの期間で逸出するようになるのか。ハワイで侵略的な外来植物で、植栽と逸出の記録から直接測定されました。


 外来種の導入から定着までの期間にタイムラグがあることは知られており、おおよ50年かそれより長い期間のラグがあると推定されてきた。


 オアフ島マノア谷に1919年より熱帯、亜熱帯産の樹種の植栽が行われており、これらの最初の植栽記録と、最初の野外での発見記録を使って、植栽から野外への逸出までの期間を計算した。


 最終的に侵略的になった外来植物23種で、植栽から逸出までの期間は木本で平均14年、草本で平均5年だった。これは温帯で推定されていた値よりずっと短い期間である。


文献
Daehler CC (2009) Short lag times for invasive tropical plants: evidence from experimental plantings in Hawai’i. PLoS ONE 4(2): e4462.


 木本植物が生育期間を考えると、14年というのはかなり短いということかもしれません*1。もちろん、ハワイでの結果ですので、植食者などの天敵が少ない環境下ということを考慮した値としてとらえておく必要はあるでしょう。

*1:個人的には14年というと長いなあという印象ですが。