島の面積とともに種数が増加する(参考:島面積と種数の関係)。また、島が本土(Mainland)から遠ざかる(隔離度が増す)につれ種数が減少する。これは、絶滅率が島の面積とともに減少すること、そして移入率が島の隔離度とともに減少することによって説明されてきました(参考:島の生物地理学の理論:ウィルソンによる回想)。
外来種数もまた島の面積とともに増加することが知られています(参考:島が大きくなると外来種数も増える)。では、島の隔離度が増すと外来種数も減少するのでしょうか?
ボストン湾に浮かぶ30の島(面積<0.01〜0.75km2:隔離度〜6km)を選び、それぞれの維管束植物の種数を在来/外来種別に記録した(橋でつながっている島は除く)。
結果、在来種数と外来種数には正の相関関係が見られた。つまり、在来種数の多い島では外来種数も多かった。また、島嶼生物学理論が予想するように、在来種数および外来種数とも、島の面積とともに増加し、島が本土から離れるとともに減少した。しかし、島の隔離度による影響は、在来種数と外来種数では異なっていた。つまり、島の隔離度に対する在来種数の減少程度は、外来種の減少程度よりも大きかった。これによって、島が本土から離れるとともに、植物相に占める外来種数の割合が増加するという傾向が見られた。
また、外湾にある島(本土から比較的離れており、風波によるかく乱頻度が高い島)と内湾にある島で植物相を比較すると、在来植物よりも外来植物の方が種構成の類似性が高かった。つまり、外来植物の方が島の隔離にそれほど大きな影響を受けていないのかもしれない。
以下の潜在的なメカニズムが上記の結果を生み出した可能性がある。
(1)外来植物の方が在来植物より分散能力が高い。
(2)外来植物の方が厳しい環境(外湾の島への分散)での耐性が強い。
(3)外来植物の方がかく乱の大きな環境(外湾の島)下で定着しやすい。
島が本土から離れるほど外来種数も減少しました(しかし外来種の割合は増加)。外来種は、人間活動によって分布が左右されるのですが、島嶼生物学の理論にも(部分的に)従うというのは興味深いことです。人の活動もまた、島の面積や隔離に強く影響を受けていることが原因の一つかもしれません*1。
参考ページ
島で植物の種数は二倍になる(1)鳥との比較
島で植物の種数は二倍になる(2)将来予測
外来植物に関するダーウィンの仮説