査読者の条件

 先日のお話の続きです。


 査読者は同じ研究機関に所属していない人から選ぶ、と明記してある雑誌もあります。今回の場合も、投稿した時は全く別の機関であったとはいえ、現在では同じ研究室に所属している人の論文を査読するというのはアンフェアな感じがします。もちろん、Rさんは、私が現在彼の研究室に所属していることなどを正直に編集長に知らせました。


 結局、なかなか査読者を見つけられず困っていること、そしてその論文に関して著者と査読者の間に利害関係がないなら、引き受けてもらえないだろうか、というものでした。私自身は、現在Rさんにとてもお世話になっているものの、今回の投稿した論文は日本で行った研究で、全くRさんは関与していません。また、現在私はRさんの研究室でvisiting researcherとして滞在していますが、Rさんの研究費等で雇われているポスドクというわけではなく、この論文が出版されることで受ける利害というのは二人の間に特にないようです(掲載を推薦してもらえば私には嬉しいけど、彼にとってはどっちでもいい?)。


 Rさんはいろいろな雑誌の編集員もやっていて、自らが編集を手がけた時に、実に15人におよぶ査読候補者に電子メールを送ってお願いしたのに、すべてに断られたという経験もあるそうです。よって、彼は基本的には査読を引き受けるというスタイルのようです。しかし、一方で、隣の研究室の先生は、(よっぽど専門が合致しない限りは)基本的に査読は断る、という人もいるようで、個人による差は大きいのかもしれません。


 分野によっては知り合いに査読が回るのは、ごく日常的なことでしょう。そういえば、3年ほど前にも私の論文がRさんに査読されたことがありました(後日わかったことです)。しかし、その時はわずか10日ほどで査読結果が知らされ、そのスピードにびっくりしたものです。論文の査読を通して、私の研究を理解してもらい、現在こうして彼の研究室に滞在しているのかもしれません。


 ともかくも、論文はようやく“under review”になりました。


 おわり(続きはありません、たぶん)