究極のレピ図鑑? 日本産蛾類標準図鑑

 すっかり春らしい陽気が続いています。余震も、放射性物質も、花粉も気になる毎日ですが、先日は研究所の同僚とお花見をしながら外でお弁当を食べました。



考えてみればサクラの開花をみるのも3年ぶり?


 こんな世の中ですが、大著が出版されました。その名も「日本産蛾類標準図鑑」です。1巻と2巻が出版されたので、早速購入しました。



日本産蛾類標準図鑑1



日本産蛾類標準図鑑2


今年は2月にも紹介した「日本の鱗翅類―系統と多様性」が出版されるなど、日本の蛾界にとって記念すべき年となるでしょう(参考:至高のレピ図鑑?)。


今回の図鑑は、「日本の鱗翅類―系統と多様性」とは全く構成や内容が異なります。「日本の鱗翅類―系統と多様性」では、幼虫から同定することが便利なような構成(幼虫と成虫とを同時に図示)でしたが、その分すべての種をとりあげることはできませんでした(日本産約14.8%)。


今回の図鑑は成虫に絞り、1982年に講談社から発行された「日本産蛾類大図鑑」以来30年間に新種記載された種を含む日本産全種の掲載を目指しています。もちろん、日本産全種ですから、1冊ですむわけではなく、とりあえず今回の1巻はカギバガ上科、シャクガ上科*1、カレハガ上科、カイコガ上科、そして2巻はヤガ科上科(そのうちシャクチホコガ科、ヤガ科)が収録されています。蛾類を含む鱗翅目では主要な上科だけでも20以上あります。その道のりは長いとはいえ、重要な第一歩といえるでしょう。


 ちなみに今回の図鑑1冊、26250円(つまり、26250×2=52500円)。前回の「日本の鱗翅類―系統と多様性」は42000円。考えてみれば、蛾だけなのにすごい出費です(合計10万円弱!)。加えて、今後も続巻が出版されるだろうこと、図鑑類は重いので置き場所や引っ越しのことを考えると憂鬱です。ただ、このたびの震度4から6弱の地震でも、図鑑類はほとんど飛び出してきませんでした。本棚の重しとしては案外役立っているのかもしれません(もちろん本棚は耐震対策に固定して、図鑑などは下の段に配置しましょう)。

*1:個人的にはアオシャク類が美して大好きです。