英文の個人差

 先日、とある論文について共著者であるネイティブのお二人に英文原稿をチェックしてもらった件について書きました。


 一人目のコメントや修正案にしたがって直したのものを、二人目に送りました。一人目は、当然のことながら私の英文を真っ赤になるほど添削してくれました。ところが、興味深いのは、その一人目に従って直した論文もまた、真っ赤になって返ってきたことです。二人目の人曰く、「英語に問題があるわけではないけれど、主な改訂ポイントは英語に関すること」だそうです。


 英語は多国籍の言語です。お二人の出身国(英国と米国)が違うからかもしれませんし、単なる個人差かもしれません。見かけ上は、片方が短文を、もう人方は長文を好むといった感じでした。


 現在、科学論文では共通言語として英語が用いられています。つまり、科学英語とは欧米人だけが使うという意味の言語ではありません。欧米人にも英文の個人差があるなら、それをより拡張して「日本人の科学英文」という個性もまたあって良いような気もしてきます。


もっとも、これについては日本人がそうしたいと思っても、他の国の人が良いと思ってくれないとどうにもなりません。主要な科学雑誌の編集者を非英語圏の研究者が占めるか、はたまた非英語圏の科学者が英語圏の数を上回るか、そんな時代がくれば少しくらい可能性が出てくるような気もしますが。