画面を共有して議論

 共同研究を行う時や、論文指導をする時される時、同じ資料(論文、プレゼン、データシート)を眺めながら議論する状況があると思います。

 

 私がハワイに留学していた際、受入研究者の先生から論文指導をしていただく機会がありました(以前の記事:英文の個人差)。その際、同じパソコンの画面を見ながら論文の構成や英文について丁寧に教えていただいたのが大変印象に残っています。日本ではそういう経験がなかったので、それ以来、論文指導の理想はこうあるべきだと思ってきました。

 

 現在、学生に論文指導をおこなう機会も増え、ハワイの経験を元に椅子を並べて論文の改訂などを一緒にするようになりました。しかし、デスクトップPCの前に二人で並ぶには日本の研究室が狭すぎ、ノートPCだと二人で覗き込むには画面が小さすぎ、加えてパーソナルスペース(対人距離)の問題も生じます。肩が接するほどのパーソナルスペースで議論するのに抵抗がある日本人は多いでしょう。次第に、論文はMicrosoft Wordの変更履歴やコメント機能を使って原稿をただ返すだけというようになってきました。

 

しかし、昨今の感染症の流行で、対面の講義や少人数セミナーでさえも制限される事態となりつつあります。そうした中、ビデオ会議システムを使って、講義やセミナーを行おうという流れがでてきています。そこで、私たちの研究室でも、こうしたシステムを利用してセミナーを試そうという流れになりました。デスクトップ用SkypeZoomには、デスクトップ画面やファイル(書類や動画)を共有する機能がついており、パワーポイントなどのプレゼン(スライドショー)を多人数で閲覧しながら議論も可能です。これを試しているうちに、通常の論文指導や共同研究の打ち合わせもこのシステムを使えば容易にできることに気づきました。

 

つまり、片方の人が論文のファイルを開いて、文章ごとにどういうふうに改訂すれば良いかを議論し、そして実際にリアルタイムで文章を改訂していくのを両者で確認しながら進めることができるのです。これは、離れた場所でも可能ですし、同じ部屋の中でも可能です(ただし、同室での場合は、片方の音声をミュートしておかないとハウリングが起こります)。

 

 もちろん、論文指導の場合、学生からみれば、リアルタイムでダメ出しされるので嫌だという人もいるかもしれません。ただ、同じ資料を見ながら議論できるという意味で、共同研究としてはかなり使えるツールとなってきそうです。他には、データの解析方法や、ソフトの使用方法などを実演しながら教えるのにも使えそうです。