ナショナルジオグラフィック ニュースより
ついに南極大陸最大と推定される氷底湖ボストーク湖に到達したというビッグニュースです。昨年末に読んだばかりの「地球環境を映す鏡 南極の科学」の中では、氷底湖の発見は南極大陸三大発見(その他、隕石、オゾンホールの発見)の一つとしてカウントされており、その生物相が明らかになる日が近づいているわけです。
南極大陸は4000メートルをこえる分厚い氷で覆われているわけですが、その厚い氷に閉じ込められたボストーク湖の存在が確信されるようになったのは1990年代のことです。その後も多数の氷底湖の存在が推定されているものの、未だ直接的なアプローチはなされていませんでした。氷底湖がどのように形成され維持されているのか、どれくらいの期間隔離されてきたのか、そして最も興味深いことは、どのような生物が生息しているのか、疑問はつきません。南極の陸上動植物相は極めて貧弱ですが(維管束植物はわずか2種類しか生育していない)、海中には多くの無脊椎動物が生息しています。氷底湖には、バクテリアをはじめ微生物が生息しているものと推定されていますが、ひょっとして肉眼サイズの動物が生息しているのではないかという個人的な夢があります。数十万年、百万年以上外界と隔離された生態系ですから、どのような生物が進化してきたのか、どのように生態系が維持されているのか、大変興味があります*2。
ただ、氷底湖に到達するにあたって(氷床の掘削によって)、微生物等の湖への混入が考えられます。長期にわたって隔離されてきた氷底湖に「外来種」が侵入してしまうわけです。ボストーク湖の研究に今後も目が離せません。
水のあるところに生命あり。南極大陸のような氷底湖に生物が生息しているなら、分厚い氷の下に水の存在が推定されているエウロパ(木星の第2衛星)にも「ひょっとして」という、地球外生命体存在確認への希望も沸いてくるというものです。