ネガティブデータが出版されにくい理由

 研究費やポジションをめぐる競争が激しい研究社会では、論文を積極的に出版することが強いられます。そのようなプレッシャーの中では、仮説にあったポジティブデータが出版されやすい傾向にあって、仮説にあわないネガティブデータは引用されにくいし出版されにくくなります。つまり、科学は客観的であるべきですが、得られた科学的な知見を全体的にみるとバイアスがかかっているかもしれません。


 アメリカ合衆国の各州から出版されたさまざまな分野の研究論文を解析した結果、そうした競争の激しい研究社会では論文の生産性を向上させるけれど、仮説にあった論文が公表されやすいという(つまりネガティブデータは公表されにくい)傾向が支持されたそうです。


論文
Fanelli D (2010) Do pressures to publish increase scientists’ bias? An empirical support from US States data. PLoS ONE 5(4): e10271.


 これも仮説にあったデータを公表しているという点でバイアスに貢献するのでしょうか?