ロコモコの起源

 この間ビッグアイランド(ハワイ島)に行った時に飲食店でロコ・モコ(Loco Moco)を注文したら、とんでもない量が出てきて食べきれませんでした。こちらではメニューを見ただけでは量がわかりません。日本のように店頭に見本が置いてあるのは大変便利だと改めて思いました。地元の人に聞いても、利用したことのある店なら知っているけど、新しく入る店ではやはり量は検討がつかないんだとか。ただ、米国では極端な消費社会なので、ご飯を残すということに抵抗がないようです。


ともかくも今後はロコモコを注文するのが怖くなるほどの量だったのですが、料理自体はとても簡単そうだったので、家で作ってみることにしました。


作るといってもいたってシンプルで、ご飯にハンバーグと目玉焼きをのせてグレービーソースをかけるだけです。ただ、これだと野菜が全くないので、今回は炒めた野菜を加えてみました。実際、ロコモコには地域や家庭によってもいろいろなバリエーションがあるそうです。



 さて、このロコモコという料理、いかにもアジア(ご飯)と西洋(ハンバーグ、目玉焼き、グレービーソース)が合体した料理です。異文化合流のハワイらしい。その起源についてはWikipediaにも紹介されていますが、研究書(?)にもあたってみました。


The loco moco originated in a small cafe, called the Lincoln Grill, in dowontown Hilo on the island of Hawaii. It was invented by the restaurant's owners and operators, Mr. and Mrs. Richard Inouye in 1949. It originated as an attempt to provide a snack for a group of teenage boys who were tried of eating American sandwiches, yet did not want to bother with time-consuming Oriental food. The contents of the loco moco were suggested by Mrs. Nancy Inouye. Rice was a staple of the cafe as was the gravy that was poured over it. Mr. Inouye had formerly worked at the Royal Hawaiian Hotel in Honolulu and there learned to make sauces and gravies. The hamburger patty, of course, was also a fairly common part of the cafe's menu because all types of food were served and American hamburgers were popular.


(中略)


The name loco moco was chosen by the teenagers themselves. They tried to compose a name made up of their own initials. Whenthis failed they used the nickname was “crazy,” which is loco in Portugues and in the local pidgin. Moco has no meaning and was chosen because it rhymed with loco and sounded better than loco soko, loco doko, or loco koko.


 ロコ・モコは1949年、ハワイ島ヒロのダウンタウンにある「リンカーン・グリル」という小さなカフェで、店主であるイノウエ夫妻(リチャードとナンシー)によって生み出された。時間のかかるアジア料理よりも手軽なアメリカ風のサンドウィッチを食べたがる10代の少年たちに、軽食を出そうとしたときに思いついたそうだ。主な構成はイノウエ夫人が考案した。ご飯ばかりでなく、上にかけるグレービーソースもまたこの店の定番だった。店主は以前にホノルルにあるロイヤル・ハワイアン・ホテルに勤めた経験があって、そこでソースやグレービーソースの作り方を学んだのだった。もちろんハンバーグはこの店のメニューで定番だ。


(中略)


 ロコ・モコという名前は少年たちによって付けられた。最初彼らのイニシャルを組み合わせて名付けようとしたが、結局、最初にロコモコを食べた少年のあだ名を使うことにした。その名は「クレイジー」という意味のポルトガル語「ロコ(loco)」(ピジンつまりハワイ語)だった。「モコ」にたいした意味はないが、「ロコ」と韻をふんでおり、「ロコソコ」、「ロコドコ」、「ロコココ」よりも音の響きが良いので選ばれたようだ。



Kelly JL (1998) Loco Moco: A folk dish in the making. In The Taste of American Place: A Reader on Regional and Ethnic Foods (Shortridge BG, Shortridge JR eds). pp.39-44. Rowman & Littlefield Pubulishers. よりp.42から転載+日本語訳をつけた


 成長期の少年向けの料理だったのです。いい歳でこれを食べ続けていると(たまに見かける)太っちょ体型になるのかもしれません。



参考ページ
Wikipedia:ロコモコ


ロコ・モコの話
(より詳しいイノウエ夫妻と少年たちの逸話あり)