恐竜による種子散布

 中生代のシリアゲムシによる花粉媒介を想像していたら、中生代といえば恐竜が優占していたことを思い起こしました。


鳥類も恐竜の一部から進化してきた可能性を考えれば、現在鳥類果たす生態的な役割を恐竜が担っていたとしても特に不思議ではありません。空飛ぶ恐竜、植食性の恐竜などが生息していたようなので、(あくまで空想ですが)恐竜によって送粉される植物があったかもしれません。


実際には一部の恐竜が、ソテツ(Cycadophyta:ソテツ門)やイチョウ(Ginkgoopsida:裸子植物イチョウ綱)などの種子を散布していた可能性が研究者によって示唆されています*1。ただし、ソテツやイチョウの種子が入った恐竜の糞または腹部の化石が残る可能性はかなり低いので、今のところ直接的な証拠が得られているわけではありません。



西表島のソテツ林


文献
Butler RJ et al. (2009) Testing co-evolutionary hypotheses over geological timescales: interactions between Mesozoic non-avian dinosaurs and cycads. Biological Reviews 84: 73-89.


Mustoe GE (2007) Coevolution of cycads and dinosaurs. The Cycad Newsletter 30(1):6-9. (PDF)
PDFの図3には恐竜がソテツの実を食べる空想図が出ています


Tiffney BH (2004) Vertebrate dispersal of seed plants through time. Annual Review of Ecology, Evolution, and Systematics 35: 1-29.


Tredici PD (2007) The phenology of sexual reproduction in Ginkgo biloba: Ecological and evolutionary implications. Botanical Review 73(4):267-278.


 こういう仮説を知ったり想像したりするのは楽しい。

*1:もちろん恐竜だけでなく哺乳類や鳥類も同じく重要な種子散布者であった可能性は高い