WBC のこと

 日本で盛り上がっているだろうWBCのことなど。


 ハワイにはプロ野球チームもないので、近辺では盛り上がりは全くなし。ただ、ようやく米国と日本の準決勝になったあたりで、Bさんが話題にしてくれました。でも米国が負けてもいまいち悔しそうではありません(Bさんは野球好きではなさそう)。また、Bさんによると米国の野球ファンはメジャーリーグのシーズンがすぐに始まるので、そちらの方が気になるんじゃないかということです。今日は決勝だけどわざわざテレビで観るつもりはありませんでした。しかし、Bさんが最後の試合なのに観ないの?とわざわざ言ってくれたというのもあって、せっかくなのでちょっと早めに帰ってテレビで観戦することにしました。


 野球を観るのは好きな方ですが、実はこの3年ほどはテレビでも野球を観戦したことはほとんどなく、たまに出張した時に衛星放送で日本人メジャーリーガーの試合を観ていたくらいです。


 久しぶりにみた先発の岩隈投手は、以前に観た投球フォームとがらりと変わっていてびっくりしました。以前(近鉄時代)は、「え、こんな投げ方あり」と思えるほど右手をだらっと下げるなど微妙なタイミングの投げ方でしたが、ずいぶん普通になっていました。ちょっと前に2段階モーションが禁止になったとは聞いていたけど、むしろこの新しい投げ方で去年21勝かつ沢村賞をとったのはすばらしい。しかも、今日も低めへのコントロールは抜群。去年はほとんどホームランを打たれなかったというのもうなづけます。しかし、それでもホームランを打った韓国のバッターはすごいかも。


 二番手は杉内投手。余裕をもったフォームで投げる球はいつもようにスピード感があった。やる気無さげに投げている時ほど調子が良いという(本人談)のもいい感じ。個人的にはああいうタイプの左で球の出所が少しわかりにくいピッチャーは結構好き。


 最後のダルビッシュ投手は、一点失ったけど、最終的には抑えたし、アウトもほとんどが三振で観ごたえがあった。こちらの解説者も彼のスライダーには舌を巻いてました。特にまだ22歳であることに驚いていて、昨日の米国戦のこともあって評価はかなり高そう。そういえば、岩隈投手もそうでしたが、ダルビッシュ投手もランナーの有無に関わらずノーワインドアップで(振りかぶらず)投げていました。ワインドアップはスピードには直接関係ないという話も聞くし、最近の投手はノーワインドアップが増えているのでしょうか(藤川投手もそうだったし)。コントロール重視な感じがして、なかなか印象的でした。もちろん、野茂投手や松坂投手のように思い切り振りかぶって投げているのも好きです。


 しかしなんといっても、イチロー選手。あれだけ打てなかったのに決勝戦では4ヒットでしかも最後の決勝点をあげるなど、おいしいところは持っていきました。決勝点をあげた最後の打席、ファールで何球も粘っていたところで、ワンバウンドのボールをファールにしたのはイチロー選手らしかった。昔あれをヒットにしたこともありました。そういえば、ドカベン岩鬼はあのワンバウンドをホームランにしたっけ。伝説の男たちはストライクゾーンが違うのかな。


 3番の青木選手は度々敬遠されていたのが印象的でした。解説者も今回のWBCを観てイチロー選手以上のバッターであると評価も高かった。個人的にも大好きな選手で、構え方はもちろん、構える前にバットをクルクル手首で回すのが特に好き。一流バッターの多くは構える前にルーチンの動作があるのだけれど、物まねのポイントにもなっていて、それがけっこう観ていて楽しい。青木選手には、普通に物まねしても掛布選手やイチロー選手、松井選手のように皆がわかるくらい有名人になってほしい。大リーガーにも実にユニークな動作をする人が多いのでシーズンがはじまるのが少し楽しみになってきました。


 韓国のピッチャーも観ていておもしろかった。先発は左ピッチャーでしかも球の出所が微妙で、先に述べたようにけっこう好みの投手でした。また、最後に投げていた右のサイドスローのピッチャーも良かった。昔の西武の塩崎投手、ヤクルトの高津投手を彷彿とさせました。彼は最近日本でプレーしているとは知りませんでした。韓国のピッチャーは結構ヒットを打たれていたけど、最終的には併殺打を打たせたり粘りがあった。


 韓国のバッターでは、前回の試合で内海投手の悪球を頭で受けた(デッドボールを受けた)という選手に注目していました。もともとホームベースに近く構えるためデッドボールを受けやすい。さらに、今回の試合では二塁へのヘッドスライディングの盗塁でタッチアウトになった時に中島選手の膝に頭があたり、ヘルメットが割れたのがすごかった。チョビヒゲに加え鋭い眼光は悪役ぽくてなんともいえない良いキャラでした。


 原監督はほとんど画面に映されていなかったけど、最終的には勝ったわけだし、今後の評価が高くなるでしょう。それにしても彼は、甲子園、大学野球、巨人で4番、巨人監督、WBC監督と、常に檜舞台で成果を上げ続けて来ている人だなあと思いました。


 あと少し気になったのは審判による判定。何度もプレーが再生されるのでわかるのですが、結構間違っていました。こんなに間違うものでしたっけ。


 ということで久しぶりの野球観戦はおもしろかったです。。あとちょっとおもしろかったのは、こちらの解説の人は、王貞治さんだけは、「Oh-san、Oh-san」と「さん」付けで呼んでいることでした(他の人はすべて呼び捨て)。米国人にも紳士として評価が高いようで、原監督よりも王さんの方を映すことが多かったのも印象的でした。