これまで、島への生物の侵入方法については詳しい説明は行ってきませんでした。考えてみれば、ガラパゴスにいる大きなイグアナやゾウガメの祖先たちはどのように島にやってきたのでしょうか?かなり不思議です。
大陸から遠く離れた島に、どのように生物がやってきたのか。人間活動による移入をのぞいた、主な四つの仮説があります。
1. Rafting(筏に乗って)
大雨時、大きな河川が増水し、そこに山間部から流れてきたと思われる大木を見たことがあるでしょうか。そのような大木が海に流れ、さらに海流に乗って島に流れ着くかもしれません。大きな大木の幹や枝の中にはいろいろな昆虫がいるかもしれないし、洞の中には植物の種子やカタツムリ、トカゲの卵などが入っているかもしれません。このような“ノアの方舟”ごと島にたどりついたかもしれないという仮説です。
2. Land-bridges(陸橋を渡って)
地球上にしばしば訪れる氷河期によって海水面が低下し、一時的に他の陸地と島がつながる場合があります。この一時的につながった陸地を経由して、さまざまな生物が島に入ってくることが考えられます。最もイメージしやすい仮説です。
3. Jump-dispersal(島をつたって)
大陸などから遠く離れた島よりも、近い島に渡る方が簡単でしょう。近い島から島へと分散を続けることで遠い島にもたどりつくことができるという仮説です。
4. Separation by plate tectonics processes(分かれた陸地に残って)
地球上の大陸はもともと一つの超大陸でした。その超大陸が分裂して現在の大陸になったと考えられています。つまり、現在は小さな島でも、もとは超大陸のの一部であった可能性があります(ニューカレドニア島など)。そうした島では、元々大陸にいた生物が分断後島になってもそのまま生き残っていたという仮説です。
もちろん他にもいろいろな手段があるでしょう。例えば、何に頼ることもなく自力で到達できる飛翔力の高い海鳥などもいます。さらにその海鳥などにひっついて一緒に分散するという手法もあるでしょう。それぞれの生物によってその主要となる分散方法が異なります。このあたりは、また分類群ごとに紹介する機会があるかもしれません。
参考サイト
http://d.hatena.ne.jp/naturalist2008/20090114/1231915914