米国科学アカデミーの紀要にエチオピアで発見された琥珀の論文が出ていました。
ナショナルジオグラフィック ニュースでもいくつかの記事に分けて写真入りで紹介されています。
「アフリカの虫入り琥珀:未知の品種」
「アフリカの虫入り琥珀:ゴンドワナ」
「アフリカの虫入り琥珀:アシブトコバチ」
「アフリカの虫入り琥珀:アザミウマ」
「アフリカの虫入り琥珀:毛をもつシダ」
アフリカでは珍しい白亜紀の虫入り琥珀(こはく)発見の報告です。大昔、植物の樹脂に脚や翅をとられて死んでしまった虫たちがタイムカプセルのようにそのままの姿で保存されたわけです。当時は超大陸ゴンドワナが存在した時代で、これらの虫たちをもとに当時の生物群集の姿が明らかになればいいなあという思いを抱かせます*1。
ところで何が嬉しいかというと、原著論文でも記事でも紹介されているように、かなりマニアックな虫たちが写真入りでとりあげられていることです。こういったあまり知られていない虫が一般誌で写真で紹介されることはほとんどありません。せっかくなので、原著論文(Fig. 3)で写真入りで紹介している分類群をここにあげておきます。
- アリ科(働きアリ)(Formicidae)
- サラグモ科(オス)(Linyphiidae)
- メロアザミウマ科(Merothripidae)
- ツチトビムシ科(Isotomidae)
- 絶翅(ジュズヒゲムシ)目(Zoraptera)
- ヒメコバチ科(Eulophidae)
- ホソハネコバチ科(Mymaridae)
- ムカシホソハネコバチ科(Mymarommatidae)*2
- タマゴコバチ科(Trichogrammatidae)*3
この論文で重要なポイントは、これらの虫たちが、それぞれの分類群の中で、アフリカで最も古い記録となったことでしょう。
文献
Schmidt AR et al. (2010) Cretaceous African life captured in amber. PNAS online published.
虫入り琥珀といえば、以下の書籍でたくさんの写真を鑑賞できます。とくに前者は、(英語ですが)実にさまざまな分類群の昆虫 in コハク を眺めることができるのがすばらしい(しかも昆虫学の教科書としても使える)。