ハワイの独特な生物相


 ハワイに到着してはや5日たちました。受け入れ研究者のRさんやBさんのおおいなる助けのおかげで、少しずつ生活をはじめさせてもらっています。

 写真は、銀行の口座を作りにBさんの車で連れて行ってもらっているところ。さすがに、ハワイ、気候もよければ、車もオープンカーです。

 さて、ハワイでの生活のもろもろを書きたいところですが、ちょっと恥ずかしいことも多いので、ここで簡単にハワイの生物相について紹介します。そもそもハワイの生物を研究にきたわけですから、ここはしっかり勉強していかないと。


 現在のハワイは、一言でいえば、外来生物の宝庫である。これは何を意味するのか。本来どこにでもいる生物が、もともとハワイにはいなかったということだ。ほ乳類に例えれば、わずかに在来のコウモリがいただけである。他はすべて外来種である。ネズミ、ブタ、ヤギ、ネコ、イヌはすべて、人によって持ち込まれたものだ。

 コウモリをのぞくほ乳類が元来いない場所といえば、日本では小笠原諸島がそれにあたるだろう。ハワイと同様に小笠原も、火山活動によって海上に出現した島々からなり、ほかの大陸や島と一度も陸続きとなったことがないため、海洋島(大洋島)と呼ばれている。当然、陸づたいに分布を広げるようなほ乳類がいないのは当然だろう。

 小笠原諸島は、本州から1000kmほど離れているが、ハワイは、他の陸地から少なくとも3000kmも離れていおり(世界で最も孤立した島々)、当然、そこにたどりつけた生物はきわめて少なかったと考えられている。しかし、そのおかげで、ハワイ諸島にたどりついた数少ない祖先種は、諸島内で種分化を繰り返し、ハワイでしか見られない多くの固有種が生まれたわけである。

 固有種の多さの指標として、在来種あたりの固有種の率(固有率)がよくとりあげられる。ハワイの昆虫では98%、陸貝で99%以上という値で、その固有性の高さが明らかだろう。しかし、そんな固有種たちは、我々人間の手によってどんどん失われている。もちろん直接生息場所を奪うような開発などの影響は無視できない。しかし、近年、注目されているのは人間が持ち込んだ外来生物による影響だ。ハワイのような海洋島では、こういった外来生物が定着し繁栄しやすい。これら外来生物が固有種たちに大きな影響を与えており、重要な問題となっているわけだ。

 というわけで、今後も時間をみつけてハワイの生物相について勉強したことを書き留めていきたいと思います。