研究室旅行とピクチョナリー

 あっという間に4月も終わりに近づきました。


そういえば昨年に学位をとったKさんが最近の日本で言えば特任助教(=任期付の教員)として研究室に復帰しました。卒業生を研究室スタッフとして呼び戻すというのは、日本の古典的な講座制研究室みたいでちょっと興味深い。


 4月のはじめには調査をかねた研究室旅行にハワイ島(ややこしいので地元ではビッグ・アイランドと呼ぶ)まで行ってきました。日本でも研究室によってはメンバー全員で旅行に行くこともありますが、研究室の規模が大きいとなかなか難しいものです。米国でも同様のようですが、今の研究室は人数も手頃なので全員がそろった調査旅行となりました。ちょっとおもしろいのは、メンバーの家族も参加可能なところ。


 コナ(Kona)はビッグアイランドの西側に位置し、溶岩が多く植生に乏しいため、東側で植生豊かなヒロ(Hilo)に比べてずっと暑く感じました。



 昼は調査と観光をして、夜はお酒を飲んでスナックをつまみながら皆でゲームをしました。一つは、ピクチョナリー(Pictionary)というゲーム。2人以上からなるチームに別れて、辞書からランダムに選んだ単語をもとにチーム内の一人が(言葉や文字を使わずに)絵を描いて同チーム内のメンバーが答えを考え、先に当てたチームが勝つという仕組みです。辞書と絵を使ったゲームなのであわせて「ピクチョナリー」と呼ぶみたい。生物を扱う研究室ということで、オックスフォードの生物学辞典を使って「バイオロジカル・ピクチョナリー」をしました。


語学のハンディがあるのですが、3人ずつのチームに別れたこと、絵を描く担当で単語を知らなくても辞書で意味を調べることができたので、なんとかゲームに参加できました。


例えば「プランクトン(plankton)」なら、海か池の中に口を開けた魚を描き、その口の前に点々を打てば「プランクトン」と推測させられるわけです。


このように本来は単語のもつ意味にそった絵を描くべきですが、競争になるといろいろな手段を使うことになってきます。例えば、「キーストーン種(key stone species)」だと、カギ(鍵)、石ころを並べて書いて推測させたり。もっと難しい「bladder worm(嚢虫:寄生虫)」では、はしご(ladder)と(ミミズのような)虫(worm)を連続して描いて「ラダーワーム、ラダーワーム」と音を繰り返させているうちに「ブラダワーム(bladder worm)」と推測させたり・・・。


 いずれにせよ、バイオロジカル・ピクチョナリーは勉強になるし、理解度をはかるためのちょっとしたイベントや授業に使えるかもしれません。


 他にも飛行機の待ち時間等にカード(トランプ)ゲームをしました。「Rich Man, Poor Man」というもので、ルールを聞いているうちに子供の頃よくやった「大富豪(大貧民)」のことだとわかりました。Wikipediaによるとどうも日本でできたゲームのようです。ただ、日本でも多くのローカルルールがあるように、ハワイでは4が最も弱く、5, 6, 7, 8, 9, 10, J, Q, K, A, 2 の順で強くなり3が最も強かったのが印象的でした(日本では3が最弱で2が最強)。また、スペード、ハート、クローバー、ダイヤ順の強さもあって、1枚カードの場合は同じ数字でも出すことが可能でした。ただし革命(同数字の4枚カードで強さが逆転)やジョーカー(すべてのカードと代用可能)等のルールはありませんでした。


言葉(方言)や種(亜種)のように、地域や国によって少しずつルールが異なるのも興味深いことです。


 他にも色々なカードゲームを教えてもらいましたが、やったことのないものばかりでした。もちろん、学生の一人がやたら詳しかっただけで、カードゲームが米国や学生に特に人気があるわけではないようです。


 という感じで、なかなかハードでしたが楽しげな時間を過ごしました。