IUCN / SSC 専門家グループのニューズレター

 研究室のRさんが一人で編集しているIUCNの軟体動物専門家グループのニューズレターが発行されました(フリーでPDFをダウンロードできます)。毎年この季節に出すようですが、いつも豊富なカラー写真や図が満載で、カタツムリ好きの人には楽しめる内容です。私自身、直接カタツムリやナメクジの研究をしているわけではないのですが、関心のある動物で、特にカタツムリの殻には愛着があります(昆虫でも柔らかいものより硬い方がどちらかというと好き)。


TENTACLE(テンタクル)*1


 内容は、世界各地の軟体動物の保全外来種問題に関連するものとなっています。一般的に陸生貝類で絶滅種や絶滅危惧種が多いので、主にカタツムリやナメクジが頻出しています。


 英語が堪能であるとはいえ、一人でこんな雑誌を毎年編集するのはかなり大変そうです。原稿の締切りを守らない著者がいるとストレスがたまるそうですし。


日本人の方もたまに執筆されているし、専門委員にも入っていらっしゃいます。私も去年短い記事を書かせていただいただきました。


 さて、このIUCN(International Union for Conservation of Nature:国際自然保護連合)は、世界各国の政府機関やNGO、1000人をこえる研究者からなる組織で、レッドリスト(IUCN Red List)を作成したり、世界遺産(自然遺産)選定のための調査を行ったりしています。生物の種は多いですから、それぞれの分類群ごとに専門委員会をつくり、それぞれでの情報を共有し、検討を行っているというわけです。軟体動物グループ以外にどういったものがあるか調べてみました。



 まず、大きくは両生爬虫類、鳥類、魚類、菌類、無脊椎動物、哺乳類、植物、対策分野といった区分けあります。さらに両生爬虫類の中には、両生類、ワニ類、イグアナ類、ウミガメ類、ウミヘビ類、(陸・淡水)カメ類などにわかれています。


SSC Specialist Groups(専門家グループ)


 これらの専門家グループのうち、定期的にニューズレターを発行しているグループはそれほど多くありません。保全が最も必要とされている哺乳類分野で多いようです。無脊椎動物では軟体動物グループだけです。グループによって温度差があるのかもしれません。フリーで閲覧できるニューズレターを列挙してみました(漏れがあるかもしれません)。専門論文と違って各記事は短いし、パラパラと眺めているだけでも勉強になりそうです。

*1:Tentacle:カタツムリでいえば“つの”、タコ・イカでいえば“あし”(触手)などを意味します