書店めぐり
Thanksgiving Day は研究室の大学院生が実家のパーティーに招いてくれました。実家といっても、大学から自転車で10分くらいの近所にあります。ハワイ大学の院生には、地元の大学を出てそのまま大学院に残るという人がけっこういます。米国本土では、学部、修士、博士と、それぞれ別の大学に行ったりする学生が割と多いそうですが、ハワイの子供たちはハワイから離れるのを好まないようです。日本とハワイは島国なので共通するところがあるのかもしれません。とはいっても、米国大学本土からハワイ大学の学部や大学院にやってくる人も多いです。
もともと社交的な場が得意でない私は、こういったパーティーに参加するのはなかなか疲れます(しかも英語だし)。日本だと、大勢で集まった飲み会(新年、忘年、送別会など)は、年に2,3回出ればいいかなあ、と思っていたくらいですから。
ともかくも Thanksgiving は終わりました。町は翌日からはクリスマスに向けた催しへと移行していきます。これからクリスマスまでの間は、売り上げが最もあがる時期らしく、どこも賑わっています。
私は、京都の言い方でいうと「ケアモク・ワイルダーのちょっと上ガル」ところに住んでいるので、ワード・ショッピングセンターと、アラモアナのショッピングセンターに行くには便利なところです。人混みが嫌いな私ですが、久しぶりに本屋に行ってみたくなりました。
ホノルルにはあまり大きな書店はないのですが、以前にもちょっとふれたように、ワードにあるBorders(ボーダーズ)と、アラモアナにある Barnes & Noble Bookseller(バーンズ・アンド・ノーブル・ブックセラー)は比較的品揃えが良いと思います。いずれも大手書店チェーンとして有名で、中にはコーヒーショップがついていて、くつろげる感じです。
ボーダーズでは、店内で子供向けの絵本の朗読をしたりクリスマス・ソングを歌っている人がいました。演出がいかにも商魂たくましいというチェーン店という感じです。一方、サイエンス・コーナーには、やはりダーウィン関係の書籍が並んでいました。当然ながら「種の起源」の著作権は切れているので、さまざまな出版社が出しているようです。その他、ダーウィンや進化論関係では、やはりドーキンス(Richard Dawkins)の本がグールド(Steven J. Gould)の本よりも多い感じです。やはり現役が強いということなのでしょうか(グールドは亡くなっている)。
バーンズ&ノーブルは、アラモアナにあるので、より人が多いです。品揃えもボーダーズと似たようなものですが、進化に対して創造関係の書物も同じような棚においてあるのは米国らしい。日本人は「進化 vs 創造」という視点にあまり関心をもっていませんから。それにしても、ボーダーズもバーンズ&ノーブルでも生態学関係の書籍がほとんど見あたりませんでした。
ちょっと興味深いのは、いずれの書店も床が絨毯なので、子供だけでなく大人もそのまま座り読みしているのをよく目にすることです。米国人は日本でいうところのお行儀があまり良くないので、これは日本人的な見方かもしれません。授業やセミナーで話をする時でも聞く時でも、肘をつく、腕や脚を組む、机に座る、などなど自由な感じです。
昨今、アマゾンなど、インターネットで本も買えてしまうことからついつい書店には足が遠のく人も増えているでしょう。しかし、書店で実際に本を手にとって眺めるのは私にとって大きな楽しみの一つです。本屋の雰囲気や品揃えに目を向けるといろいろな点で興味深いものです。
私が定期的にめぐっていた書店は、大阪では梅田の紀伊国屋、旭屋、京都では京都駅のアバンティ、三条・四条の駸々堂、丸善、ジュンク堂、東京では神保町の三省堂、書泉グランデ、明倫館、悠久堂、鳥海書房、つくばでは友朋堂、くまざわ書店という感じです(つぶれたのも含む)。
もちろん、地元の小さな書店にも通っていました。その中でも、京都の一乗寺に住んでいた時によく行っていた「恵文社」という書店は、雰囲気や品揃えに独創性が高く興味深いものでした。私の好きなサイエンス関係の書物があるわけではないのですが、美術、芸術、映画、漫画といった分野で通常の書店ではあまり見かけない種類の本が置いてあるのが特徴です。未だにこれ以上の独創性あふれる書店には出会っていません(店内は暗くて、そもそも書店っぽくないし・・・)。
英国ガーディアン紙に世界の書店ベスト10に取り上げられたこともあるようです。
http://www.guardian.co.uk/books/2008/jan/11/bestukbookshops