島で植物の種数は二倍になる(1)鳥との比較

 ハワイ大学の構内を散歩していたら、アカギ(写真)が植えられているのを見つけました。小笠原諸島では、在来植生を置き換えるほど勢いのある外来樹種です。大学構内の個体にもちゃんと果実がなっていたので、たくさんいる外来鳥類に運ばれてハワイにも帰化しているのでしょう。



 帰化種というのは、外から持ち込まれた種(外来種)が、その土地で自然に繁殖し定着した種を指しています。
 ハワイ諸島小笠原諸島といった、海洋島では、多くの外来植物が帰化していることが知られています。このような島々では、在来の植生にも外来植物が入り込み繁茂しているのが観察できます。では、どれくらいの種類が帰化しているのでしょうか?

 島における外来植物の種数に関して、島の陸鳥と比較して、興味深い傾向が知られています。


 世界のさまざまな海洋島において、これまで記録されている陸鳥と植物の絶滅種数、(外来種の)帰化種数、そして現存(在来)種数の関係を調べた。(在来種の)絶滅種数を横軸に(外来種の)帰化種数を縦軸にそれぞれの島をプロットしたところ、陸鳥では、絶滅種数と帰化種数は有意な直線関係にあった。陸島では、過去に絶滅した種数分が、帰化種によって埋められ、合計種数は見かけ上変化していない(構成は大きく変化している)。それに対し、植物は、絶滅種数を帰化種数が大きく上回り、合計種数は、元の種数のおよそ二倍に達していた。


文献
Sax DF, Gaines SD, Brwon JH (2002) Species invasions exceed extinctions on islands worldwide: a comparative study of plants and birds. The American Naturalist 160: 766-783

 
 上記の論文は、島で植物種数が二倍になっている現状を報告した研究として、頻繁に引用されています(Web of Science 95件;Google Scholar 125件;現在)。島では今後も外来植物の帰化種数はさらに増加していくのでしょうか?

 次回はその続編です。