送られてくる雑誌

 最近は、研究論文を入手する際、大学から支給されるアカウントを使って電子的に論文(PDF)をダウンロードしています。一般の人にはわかりにくい表現かもしれません。つまり、大学などの研究機関は出版社から論文のダウンロード件を購入しており、これによって所属する研究者がその出版社が発行する雑誌の論文をダウンロードできるというわけです。


ハワイ大学は米国の辺境の地にある地方大学の一つですが、ダウンロード可能な雑誌数は、日本の地方大学よりも多いのは間違いありません。旧帝国大学のそれくらいはありそうです。しかも自宅など、どこからでもパスワードを使ってダウンロードできるのが便利です。


こちらに来る前は研究所にいたので、それに比べれば今は文献収集には大変ありがたい環境です。私はいろいろな学問分野に興味があるので、ふと思った時に論文が入手しやすい総合大学は良いなあと感じます。日本の研究所も、さまざまな分野の研究所を統合して文献などは共有したら良いのにとさえ思ってしまいます。


 さて、論文をPDFとして入手するのはとても便利ですが、昔のように雑誌を直接手にとって、ぱらぱらとページをめくって論文を眺めるのも大好きです。学術論文とはいっても、やはり雑誌ですから、それなりの体裁や掲載順というのもありますから。日本にいる時はよく図書室に行っては新着雑誌をチェックしていたものです。美しい写真や図が掲載された論文はこれで目につきます。


 ハワイに来てからは、図書室も遠いし、そもそも新着雑誌がどこにあるのかも知りません。しかし、研究室には生態学保全、動物学関係の雑誌が十数誌届くので、それをチェックするのを楽しみにしています。驚くべきことに、そららの雑誌の多くは、研究室の先生が編集者などをつとめているため、出版社から無料で送られてきているそうです。


 英国と米国での両方の研究経験があって、何よりネイティブなので、こんなにもたくさんの雑誌の編集に関わることができるのでしょう。学問の世界ではやはり、英語を自由に操れるというのは、英語を母国語としない人たちとはより広い視野を持つことができるのかもしれません。